「ひまわり」懇談会の最終取りまとめ

平成20年1月から始まった「静止気象衛星に関する懇談会」は、2月20日に最終取りまとめ結果を公表して、1年間に及んだミッションを終了した。

「静止気象衛星に関する懇談会」取りまとめの公表について

これまで5回にわたって開催された懇談会であるが、以下のページにこれまでの経緯がまとめられている。

静止気象衛星に関する懇談会について

この懇談会は、財源不足で「ひまわり」の打ち上げが危なくなってきたときに、「ひまわり」打ち上げを応援するための有識者会議のような形で始まったもの、と言ってよいだろう。それから1年を経て、「ひまわり」は今後も国の方針として打ち上げていくことが決まった。いろいろなメディアも「ひまわり」の危機に関するニュースを取り上げ、それも支援材料となったはずだ。

しかし懇談会でも「気象庁はもっと(衛星データ)ユーザとコミュニケーションすべき」という声が上がっていた。今後も「ひまわり」が必要な衛星とみなされるには、データが国民にもっと幅広く利活用されていくことが必要条件だし、気象庁はその動きをもう少し積極的に支援してもよいのではないか、ということだろう。

ちなみに、今回が最終取りまとめとのことなので、当ブログの記事もここにまとめておこう。

  1. 第1回懇談会に関する記事
  2. 第2回懇談会に関する記事
  3. 第3回懇談会に関する記事
  4. 第4回懇談会に関する記事

さて懇談会の終了とともに、このブログはまたもやネタ切れ状態となってしまいそうだが(苦笑)、しょうがないか。。。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ひまわりと重要課題推進枠と宇宙関連予算

気象衛星「ひまわり」の予算が認められたという話はすでに書いたが、その詳細に関連する記事がいくつか出ているのでメモ。

まずは「重要課題推進枠」。日経新聞の記事(12月22日)によると、

気象衛星「ひまわり」の後継機整備へ

気象庁は22日、2009年度予算の「重要課題推進枠」で、静止気象衛星「ひまわり」後継機の整備予算77億3200万円が要求通り認められたと発表した。

この「重要課題推進枠」とは一体何だろうと調べてみると、東京新聞の記事、復活折衝を廃止重要課題推進枠 麻生首相決定へには、これまで「復活折衝」という手続きでおこなわれていたものを、来年度予算からは首相自らが決定する「重要課題推進枠」と呼ばれる手続きにした、というような説明がある。では復活折衝とは何か。これがまたよくわからない。もちろん字義通りに解釈すれば「財務省原案で認められなかった予算を復活させるための交渉」となるだろうが、ちょっと検索してみると「あんなの出来レース」と述べているページも多数みつかる。ということは「ひまわり」の予算も、最終案で復活させる目玉として「重要課題推進枠」に回ったということなのだろう。

次に宇宙関連予算であるが、これも日経新聞の記事(12月24日)、

09年度予算案、気象衛星開発など宇宙関連が10%増

政府の宇宙開発戦略本部事務局は24日、2009年度の宇宙関連予算が08年度比10.4%増の3488億円になったと発表した。今年8月に施行した宇宙基本法を受け、宇宙予算の伸び率は前年度の約0.5%から大幅に拡大した。野田聖子宇宙開発担当相は同日の閣議後の記者会見で「来年作成する宇宙基本計画のいい足がかりができた」と話した。
 財務省原案からは、現在稼働している気象衛星「ひまわり」の後継衛星の開発費77億円や、地球観測衛星「GCOM」の関連経費25.5億円などが上積みされた。

宇宙関連予算の増加分約300億円のうち77億円が「ひまわり」関係ということになる。なんとなく、国民から反対を受けにくい予算を「重要課題推進枠」に回したような感じである。さすがに、「ひまわり」の打ち上げに税金の無駄遣いとか文句を言う人が多いようには思えないので、ある意味予算を増やすには「安全パイ」である。なので、目立つところに「ひまわり」を入れて、宇宙関連予算も増えて、大臣の面目も立った、ということになろうか。

宇宙関連予算というくくりで見れば、全体の中で「ひまわり」の予算規模はそれほど大きなものではないし、今後もよほどのことがない限り、まあなんとか続くのではないかという気がしてきた。楽観的すぎるだろうか。。。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

気象衛星「ひまわり」に予算が認められた

気象庁のサイトに12月22日付のプレスリリースが出ている。

平成21年度予算 2次内示の結果

◇静止地球環境観測衛星の整備 77億円が認められた。
頻発する豪雨など極端な気象現象の観測機能を向上させ、さらに地球温暖化など地球環境の常時監視機能も強化した静止地球環境観測衛星(静止気象衛星「ひまわり」8号・9号)の整備に着手する予算77億円を要求。
その結果、「重要課題推進枠」で要求どおり認められた。

第一歩が踏み出せたようで、まずはめでたい。今後の進展に期待しよう。

ところで気象庁のプレスリリースを読むと、地球温暖化対策としての意義が強調されているので、公共衛星として公共性を訴えるというコンセプトがどうなったのかはよくわからない。今回はむしろ日本の地球温暖化対策の一環としての「地球温暖化対策衛星」というコンセプトが強調されたような感じである。

日本の宇宙開発の状況についてはこんな分析も出てきており(ただし「ひまわり」の予算は実際には認められているのでそこは読み替え)、なんだかややこしい状況のようだ。。。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

気象衛星ひまわりは「公共衛星」?

まだまだ不透明な段階での記事だが、今後のための記録として残しておきたい。

宇宙戦略本部、早期警戒衛星を検討…事務局原案(読売新聞)

11月4日に明らかとなった、政府の宇宙開発戦略本部事務局原案では、以下のような方向性が打ち出されているそうである。

気象庁の予算不足から継続が危ぶまれていた気象衛星「ひまわり」や、地球観測衛星、科学衛星などは新たに「公共衛星」と表現、政府として責任を持って運用する方向を打ち出した。

この事務局原案がウェブサイトに掲載されているのかを調べてみたが、よくわからなかった。宇宙開発戦略本部のウェブサイトには、それらしき文書は公開されていないようである。

宇宙開発戦略本部

「公共衛星」という概念がどこまで広く受け入れられるのか、今後の展開に注目していきたい。

ちなみにこの概念は、「ひまわり」をより大きな枠組みの中に位置づけるというシナリオから生まれてきたものと考えられ、先日の記事の追記で取り上げたキャッチフレーズへの第一歩となる言葉かもしれない。が、これだけではキャッチフレーズとしてインパクトが弱そうな感じもするし、今後さらにいろいろ知恵を出していくのだろう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ひまわり後継機は気象庁が単独で調達することに

すでに数日前からニュースは出ているが、ひまわり後継機の予算不足の問題は、気象庁が単独で調達することで解決を目指すこととなった。

ひまわり後継機、気象庁が予算要求…運用の民間委託も検討

この件については、今年の初めから気象庁が懇談会を開いて費用確保の方法を検討してきたが、有望な方向を打ち出すことができなかった。

「静止気象衛星に関する懇談会」中間取りまとめの公表について

そして、一時は打ち上げが危ぶまれる状況(というストーリー?)になっていたが、最終的に気象庁が80億円の予算を概算要求に計上するという方向で、ひとまず決着を迎えた。

ところで、読売新聞の記事だが、予算の要求を認めたのは国土交通省ということになっている。

現行の2基を相乗りで打ち上げた国土交通省航空局が後継機から手を引く方針を打ち出したため、予定通りの打ち上げが危ぶまれていたが、台風の進路や地球温暖化の監視を担う衛星の重要性は高まっており、同省も予算を確保し気象庁単独で打ち上げることを認めた。

もしかすると予算要求を嫌がっていたのは国土交通省だったのかも。これまでの経緯について、想像をたくましくしてみよう。

気象庁から見ると国土交通省は親のような立場にあたる。子の気象庁が困っていれば面倒を見る立場だし、国土交通省は予算規模が大きいので全体としては面倒を見る力がある。しかしできるだけ親の負担は少なくしたいから、「なんとか自分で金を見つけてこい!」と気象庁にハッパをかけた。しかし有効な手立てを見出せなかった気象庁は、「いろいろやってみたけど、もうどうにもならないっす。。」と国土交通省に泣きついた。そうなっては国土交通省も、親の立場としてなんとかしなければならない。別に突き放してもいいのだが、親だって実は「ひまわり」がないと困るのである。「ったく、しょうがねぇなぁ~」ということで、特定の局が負担するのではなく、省全体でサポートするという形で、80億円の概算要求を認めたというあたりかもしれない。

しかし、まだ予算要求できた(つまり予算の優先順位を高くしてもらえた)というだけで、財務省が認めたわけではないから、まだまだ楽観視できる状況にないのも確かである。今後も世間でこの話題が盛り上がることを期待したい。

なお、この話題に関する最近のページとしては、以下が話題豊富である。

気象衛星観測に空白の危機・頼りは中国?

この記事には、私も時折触れてきた、中国の気象衛星「風雲」の話題が出ている。確かに中国の衛星を使ってもある程度までは代替可能だろうが、だからといってアウトソーシングで経費削減、が万能の解決策でもなかろう。今後の国際貢献を考える上でも、「ひまわり」を確保しておくことは大きな武器になるのではないかと思う。

(追記:2008-08-27)

気象庁の概算要求概要が公表された。

平成21年度概算要求概要

次期気象衛星に77億3200万円の予算を計上し、「最重要課題として、次期気象衛星(静止地球環境観測衛星)の整備に着手する。」との文言が入った。今年はじめからの各種の懇談会その他は、まさにこの一文を書いても許される(?)環境を作るためだったから、これをもって第一ステージは終わったと言えるだろう。

ただしその影響で、主要施策の予算額が前年の34億から118億へと大幅に増加している。国の予算削減の折、これは目立つ、のかもしれない。

話は変わるが、新田次郎著「富士山頂」には、富士山レーダーの予算の説明のために大蔵省に行くシーンが冒頭に出てくる。富士山レーダーの必要性に関してくどくどと長ったらしく説明していたら、主計官に「説明をひとことで云い表すことばはないか」と聞かれ、そこで「台風の砦」というキャッチフレーズを持ち出したのが効いたか、満額に近い予算が認められたというシーンである。

今でも同じような予算説明が行われているのかはわからないが、次期気象衛星の新規予算規模は気象庁にとっては富士山レーダーに匹敵するような規模かもしれず、同様にうまい説明や「ひとことで表現する」キャッチフレーズが必要となる。第二ステージではそのために再び知恵が集められることになるだろう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ひまわり後継機の予算がない問題に関する社説

読売新聞の社説に、ひまわり後継機の予算がない問題が取り上げられた。

次期気象衛星 観測の空白は許されない(7月21日付・読売社説)

書き出しは最近気象庁がミスを連発しているという問題。これはどうでもいい。いや、どうでもいいわけではないのだが、本題には関係ない。

さて本題のひまわり後継機の予算がないという問題である。まずは背景説明。

現在の気象衛星「ひまわり」は2015年に寿命を迎える。気象衛星の製造には最低5年かかるため、観測を継続させるには、次期衛星の関連費用を来年度予算で確保しなくてはならない。

しかし、まだ予算を確保できていない。だから、

気象庁は、早々に予算のめどをつける必要がある。

その通り。ただ、必要性を認識しただけで予算が湧いてくるわけではないので、気象庁は他省庁、あるいは政治家に対して、もっと積極的に予算獲得運動せい、ということだろうか。

政府全体として、もう少し戦略的に、衛星の調達に取り組む体制を整えることも大切だ。来月には宇宙基本法が施行され、宇宙戦略作りが本格化する。そこに、気象衛星も位置づけるべきだ。

国の厳しい財政事情を考えると、単に気象衛星に予算をつけてくれと言っても拒否されてしまうだろうから、単独の案件ではなくもっと大きな枠組みの中に位置づけるしかない。そこでキーポイントなるのが宇宙基本法であり、宇宙開発戦略本部のようである。宇宙開発戦略本部では政治家が今後の宇宙開発の指針を決めることになるようだが、その中に「ひまわり」をうまく位置づけてもらえれば、予算も確保できるかもしれない、というのが今のシナリオか。

ともかく、国民が広く受ける利益でコストパフォーマンスを測れば、「ひまわり」に勝てる衛星はおそらく他にはないだろうから、実務的にはいろいろあるとしても、最終的にはそこの点を国民的に広く支持していただくのが最も強い力になると思う。ただし気象衛星「ひまわり」には別の問題もある。

気象衛星の観測機器の性能向上にも、取り組む必要がある。現在は、海外のメーカーしか、気象観測に必要な機器の製造技術を持っていない。どう研究開発に取り組むのか。これも、気象庁任せにはしておけない問題だ。

そうは言っても、これはむしろ気象庁にはどうしようもない問題で、「日米衛星調達合意」という核心問題に触れないで議論をしてもむなしい感がある。

日米衛星調達合意の問題については以下のページが詳しく述べているが、

日本の宇宙開発利用の今後―日米90年合意について―

こういう問題があって「ひまわり」を国産できないのであるから、まずはこの合意をどうするかという問題に取り組まなければ、社説で述べられた問題は根本的には解決しないだろう。アメリカに対してこの合意の修正を提案するとすれば、それもやはり政治の問題である。ただしすぐに何とかできる問題ではない。

ひとまず予算については、この夏がかなり重要な運動期間になるのかもしれない。こうやって色々なメディアで、この問題をどんどん取り上げて欲しいものである。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

気象衛星「ひまわり」が消滅の危機

なんだかこのネタに関して唐突に記事が出てきたが、気象庁からのプレスリリースが出ているわけではないようなので、なにかとお金の話が多くなる(?)洞爺湖サミットにぶつけた記事だろうか?

気象衛星が消滅の危機、「ひまわり」後継機に予算集まらず

気象衛星が消滅の危機にある理由は、これまで繰り返し取り上げてきたように、多額の費用を負担してくれるスポンサーが見つからないからだ。

現行2基の予算の7割を分担した国土交通省航空局が計画から外れることになったため、管理運用を含め1基400億円とされる予算の確保が気象庁だけでは難しいためだ。

また、気象庁が民間との相乗りを模索したが協力を得られなかったというのは、例の「静止気象衛星に関する懇談会」のことを指していると思われる。

打ち上げ費用は管理運用も含めて1基400億円。以前にも書いたが、これを安い金額とは言わない。ただし気象衛星は日本国民のほぼすべての人が恩恵を受ける事業である。だから例えばマイクロペイメントが実現するとすれば、日本国民が1人1日1円負担すればたった1年でこの費用はカバーできる。しかも衛星は5年間動くので、実は1人1日20銭の負担でよい。つまり気象衛星が打ち上げられないということは、日本国民は1人1日20銭も負担することができない、ということになる。

まあもちろん財政事情が厳しいとはいえ、日本政府はさすがに400億円を負担できないほど貧乏なわけではなく、要するにこれは優先順位の問題である。つまり、現在何か別のものに支出している400億円を削減して、それを気象衛星に投資するという決断ができる人が日本にいるのだろうか、というのが問題である。もしこの決断ができる人がいるとすれば、それは政治家ということになるだろう。果たして、これほど票に結びつかない決断ができる政治家が、この日本にいるのだろうか。。。

日本が気象衛星を打ち上げられなくなれば観測に空白が生じると記事にはあるが、実際に起こることはある意味日本にとってはもっと悲惨なシナリオではないかというのが私の予想である。というのも、これも前に書いたが、中国がすでに近くに気象衛星を打ち上げているからである。気象衛星がないと困るのはどこの国も同じ。「お願いだから、貧乏な日本の代わりに気象衛星を打ち上げてください!」というリクエストが中国に向かい、それを受けて中国が日本の地位を引き継いで、めでたしめでたし、となるのではないか。

せっかく洞爺湖サミットに合わせて(?)記事を出してくれたのだから、これを機会にこの問題にもっと人々の関心が集まり、究極的には国の予算配分の仕組みそのものが良い方向に向かってほしいものである。

(追記)
ブログ「松浦晋也のL/D」でも、この問題が取り上げられている。

松浦晋也のL/D: 気象衛星の危機的状況

この記事でも問題の解決には政治家の決断が必要であると述べられているが、同感である。

この問題を天気予報のための気象衛星打ち上げという問題に矮小化してしまうと「気象庁にそんな金はない」ということになるが、防災目的への利用や国際的なプレゼンスの維持までを含めたコストと考えれば、他のコストと比べてそれほど大きなコストであるとは思えない。ただしこのような大局的な問題の捉え方は、省庁の縦割り構造にはあまり馴染まないものであろう。いま、日本のあらゆる分野で予算配分(もっと言えば既得権益)の硬直性が問題になっているが、この問題もまさにその一つの現れに他ならない。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

第3回静止気象衛星に関する懇談会

少し遅くなったが、4月25日に第3回静止気象衛星に関する懇談会の議事概要が出た。

静止気象衛星に関する懇談会について

第1回第2回とは異なり、今後につながる話題も見えるような議事進行になっている。

今回の懇談会は、民間衛星通信事業者を招いて議論するというのが趣旨であるが、今後につながる話の流れとなったのは、基本的に事業者がこの計画に前向きだからであろう。つまり、「やるかやらないか」の議論ではなく、「どういう条件ならやるか」の議論になっており、議論のポイントが比較的明確になっている。

まず今回の議論ではPFIという言葉が登場し、これが主な話題になっている。PFIとはPrivate Finance Initiativeの略、つまり公共的な事業を民間資金を活用しておこなう手法を指す。衛星運用のような公共性の高い事業はこれまで国がリスクを負ってやっていたが、そのリスクを民間も負うことによって、民間にも事業機会を生み出すことができることになる。最近は様々な事業に関してPFIが試されているが、衛星の運用に関しては日本初の試みだそうだ。

素人の印象としては、衛星運用ではPFIの意義はそれなりにあるのではないかと思う。民間事業者はどちらにしろ通信衛星など他の衛星を運用しなければならないのだし、その事業に新たに気象衛星を付け加えたとしても、気象衛星だけをやる場合に比べれば追加的な負担が少ないことは想像できる。また民間事業者であることから継続性に疑問も生じるが、しかし通信衛星など他の衛星の運用も請け負っている以上、参入が容易な他業種のように頻繁に撤退・譲渡が生じることはなさそうである。もちろん絶対にトラブルがないとは言えないが、それを考慮しても、衛星運用をアウトソーシングすることには合理的な理由がありそうだと思える。

また議論の中には、興味深い発言も見られる。


1990年の日米衛星調達合意によって気象衛星は非研究開発衛星として整理されており、気象衛星の本体に関して技術開発を多分に行うことはない(以下略)

1990年の日米衛星調達合意によって国の非研究開発衛星はオープンな国際調達を行う必要があるが、民間には適用されないメリットもある。

気象衛星「ひまわり」の打ち上げがあまり盛り上がらない理由の一つには、「ひまわり」で儲かる人が少ないという点もあるだろう。「ひまわり」衛星を製造しようと思っても国際調達をすべしという縛りがあるため、結局米国のメーカーが製造することになってしまい、日本企業はあまり潤わない。しかも第2回で話題になったように、データの販売でも儲かる見込みが薄い。結局、「ひまわり」は確かに必要だけど誰も儲からないよね、、という構図になってしまっている。儲からない話にサポーターが少ないのは世の常だし、「非研究開発衛星」に指定されてしまっては研究という面でもサポーターは少ないだろう。これでは予算も確保しにくい。邪推ではあるが、今回のPFIで国際調達の縛りが解けて衛星の製造でも儲かるという話になれば、サポーターが増えてくるという目論見もあるのかもしれない。。。

もう一つの話題は衛星の相乗りである。質疑では相乗りする衛星によって衛星の位置を動かせるのかというものがあるが、気象庁としては東経140度という位置は動かせないという主張で、私もそれは全くその通りだと思う。したがって相乗り衛星については、相変わらず明るい話題はないようだ。

まあとにかく、PFI方式がうまくいくかは、以下の議論につきるだろう。


委員:衛星の運用のみを民間に任せられても、企業として収益が上がると思っておられるのか。

事業者:収益が上がるだけの契約をしていただきたい。民間には人的リソースも含めて十分なものがあるので、気象庁が自ら衛星運用を行うよりもコスト面でのメリットはあるだろう。

つまり儲かるような事業にしてくれるならやりますよ、ということで、ある意味当たり前のわかりやすい結論である。衛星運用についてはVFM (Value for Money)、つまり官が運用する場合に比べたコスト削減効果が大きいと見込めるので、ここにコスト削減効果と事業者の収益機会があるだろうということになる。

それは確かだが、しかしそもそも問題になっていたのは、衛星本体の打ち上げ費用の工面なのではなかっただろうか。確かに衛星運用はPFIに向いているとしても、肝心の打ち上げ費用のメドがつかないのではすべてが絵に描いた餅である。こちらも民間資金は活用できるのか。私もまだPFIについてはよくわかっていないのだが、そのあたりが今後の話題となりそうな気もする。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ひまわり8号に関する懇談会

静止気象衛星に関する懇談会の2回目の議事録が出ているようだ。

静止気象衛星に関する懇談会について

今回は民間事業者なども出席してもらい、相乗りの可能性、新たな利用の可能性を探るのが主な目的のようである。しかし、あんまり明るい話題はないようだ。いくつか話題を抜き出してみると、

  • 気象衛星画像だけで商品価値が生まれるものではない。
  • もしも有料化されれば使われなくなる。
  • 単体の衛星データだけでなく様々な衛星や航空機等のデータを総合して初めて利用者に満足されるサービスを提供できているのが現状である。
  • 技術的に使えることとマーケットができてビジネスとして成立するかどうかは別ものである。

というように、有料化への反対意見ばかりが述べられている。そして「主な意見」にある以下のやり取りが、有料化への望みの薄さを象徴しているかのようである。

委員:数ある日本の衛星の中で気象衛星「ひまわり」ほど多くの国民に見られているものはなく、これほど公共的に使われているにもかかわらず、気象衛星だけでは民業として儲からないというのは何故か?
事業者:気象衛星は毎日の天気予報で使っているが、それは気象衛星のデータが無償で提供されることによって安価な気象情報を提供できるからこそ使われているのが実情である。気象衛星データだけでは自治体も含めてビジネス・マーケットにはならない。

このようなやり取りは、なんとなくインターネットの歴史的事情を思い起こさせる。インターネットの世界でも、昔から無料での情報共有が当たり前となっていて、その前提でいろいろなサービスが発展してしまっていたので、その世界に有料のサービスを持ち込むのは非常に難しかった。「データには価値があるのだから有料にします」と宣言しても、「じゃぁ使いません」と言われるだけで、多くのビジネスが有料化に失敗して苦しんできた。もともと有料のサービスで、そこにしかないデータがあれば有料モデルでもやっていけるかもしれないが、もともと無料のサービスで、しかもそこにしかないわけでもないデータを有料にするのはなかなか難しいのである。

インターネットの世界でお金が動くようになったのは、データの販売よりもむしろGoogleの広告モデルが大きなきっかけとなった(広告モデル自体を考え出したのはGoogleではなかったのだが)(*1)。データにお金を払うよりも、広告にお金を払う方が、ずっとお金は動きやすかった。これを見てインターネットの世界では、有料サービスに見切りをつけて、無料化+広告モデルに頼るビジネスにシフトする動きも出てきている。会員への特別サービスやコンテンツの販売をビジネスにしているサービスもあるが、それとてデータそのものに価値があるというよりは、それによってユーザに高いレベルの体験を提供できることがむしろ大きな付加価値となっている。

このような動きを考えれば、もともとタダだったデータをむりやり有料化して利用者を減らすよりは、何か別の道を探った方がよいような気がする。

例えば、そもそも衛星の価格はどのくらいなのだろうか。ひまわり8号の価格がどのくらいになるのかはわからないが、気象衛星に関連する費用は、過去の例ではだいたい一機あたり200億円ぐらいになるようである。これで5年から7年使えるので、だいたい年間で40億円から30億円程度。となると、日本人が一人当たり年間約30円(あるいは月に3円)を負担すれば、ひまわりを維持することができる。つまり、このところ一生懸命議論しているのは、ひまわりを維持するために日本人が毎月数円を払えるかどうか、というレベルの議論ということになる。。。

決して小さくない金額ではあるが、なんとかならないものか、と思う。この件はまた考えてみたい。

(*1)電子商取引等での物品購入によるお金の動きは、物品に対する対価が必要なことは当然なのでここでは考えていない。もともと無料だったものからどうやってお金を取るのかという点をここでは問題にしている。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ひまわり8号に迫る危機

なるほど、ひまわり8号をめぐる状況が、ようやく見えてきたような気がする。

静止気象衛星に関する懇談会について

この懇談会の第1回会合に関する資料からは、ひまわり8号が抱える根本的な問題が行間から伝わってきた。

まずはざっと、ひまわり8号に関して公表されたスペックをまとめておこう。おおむねひまわり8号?で予想したのと同じようなスペックである。

  • 可視は3chでカラー撮影が可能。解像度は0.5km。
  • 赤外は13chで解像度は2km。
  • 全球の観測時間は10分。

上記の数値は米国および欧州の次期静止気象衛星のスペックとも近く、世界的な標準に合わせるとともに製作コストの低減を狙ったものだろう。余談だが、気象庁の資料に次期衛星の名前が堂々と「ひまわり8号」「ひまわり9号」と書かれているので、もはや気象庁の静止気象衛星の名称が「ひまわり」以外になることはなさそう。

さて報告で興味深かったのは、実はそれ以外の部分である。ひまわり8号?のエントリでも取り上げたが、気象庁からは「ひまわり8号」に関して以下のような問いかけが既になされていた。

  1. 気象観測ミッションと他のミッションの相乗りの可能性
  2. 静止気象衛星の観測機能の格段の向上により、従来の気象庁での利用のみならず民間を含めた新たな分野への利用の可能性
  3. 民間における静止衛星の整備・運用のノウハウの蓄積を踏まえ、静止気象衛星の整備・運用における民間活力の活用の可能性

一読したときは「そんなものか」という印象しかなかったのだが、今ごろようやく気づいたのは、これらが実はすべて同じことを言っているのではないか、ということだった。それは、身も蓋もない言い方をしてしまえば、


金がない

ということである。

例えばこれまでの気象衛星「ひまわり」の経緯というページには、これまでどのような経緯をたどって気象衛星が打ち上げられてきたかがまとめられている。

  • ひまわり1号~2号:科学技術試験衛星だったため、科学技術庁が経費を100%負担(気象庁ゼロ%)
  • ひまわり3号~5号:科学技術衛星だっため、科学技術庁が40-25%負担(気象庁60-75%)
  • ひまわり6号~7号:運輸多目的衛星だったため、航空局が70%負担(気象庁30%)

つまりこれまでの衛星は、気象庁以外の省庁が打ち上げ費用を負担してくれていたので、なんとか打ち上げが継続できていたということだ。ところが次期のひまわり8号~9号では、どうもそのようなスポンサーがまだ見つかってないらしい。もちろん気象庁の予算で100%を負担する打ち上げは相当に困難。国全体が支出削減となっているなか気象庁もその荒波をもろにかぶっており、衛星を2機も打ち上げる予算を確保できる見通しがたたない。

これは困った。さてどうやって打ち上げ費用を工面するか。万が一にも静止気象衛星を打ち上げられないことがあれば、国際的には大恥をかくし、日本はもはや静止気象衛星も打ち上げられない貧乏国とみなされるだろう。しかも「ひまわり」からそれほど遠くないところには、都合のいいことに(?)中国の静止気象衛星「風雲」がすでに観測を始めている。もし「ひまわり」がなくなっても、中国の静止気象衛星を利用させて頂くという選択肢はゼロではないかもしれないが、それでは長期的・継続的な利用に心配がある。

そこで気象庁が考えた方策が、先の3つの選択肢だったというわけである。

  1. 相乗りできる相手を見つける→割り勘にすればなんとかなるかも。。
  2. データをもっと多くの人に使ってもらう→利用者が増えればデータの販売で儲けられるかも。。
  3. 衛星を他の人に打ち上げて管理してもらう→打ち上げ・維持費用を分割払いにできるかも。。

だが2番目については懇談会の委員から厳しい意見もあがっている。そもそも気象衛星データは公共の利益に資するものであり、国際協力に参加する意味でも、無償が大原則なのではないか。また、データを有料で販売すると言っても、データによほどの魅力がないと顧客がつかないだろう。また3番目についても、あまり具体的な見通しはなさそうである。となるとやはり1番目の相乗りスポンサーを探すというのがもっとも現実的なのだろうか。どこも予算不足で苦しい台所事情とは思うが。。

ともかく、静止気象衛星がなくなってしまえば、防災の面では多大な影響が出ることは避けられない。気象庁の資料にも「気象衛星がなくなったら」というスライドがあり、1.台風等の監視体制が昭和30年代に逆戻り、2. 防災気象情報の発表に影響、3. 国際社会に大迷惑、とかなり強い言葉が書かれている。もしかすると10年後ぐらいには、次期富士山レーダーの建設が始まったり、天気予報でおなじみの気象衛星「ひまわり」画像が気象衛星「風雲」画像になったりして(笑)。

まあ、以上の記述はすべて私の解釈なので、実態をどのくらい反映しているのかはわからない。しかし、衛星製作と打ち上げの費用捻出に苦労しているのは確かのようで、この問題がなんとか解決に向かうよう、外野からも応援していきたいものである。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ひまわり8号?

気象庁のプレスリリースによると、そろそろ次期静止気象衛星の検討が始まるようだ。

第1回「静止気象衛星に関する懇談会」の開催について

平成27年にはひまわり7号の設計寿命を迎えるし、衛星を製作するにも5年ぐらいかかるから、そろそろ検討を始めておこう、ということらしい。

検討項目としては以下の3項目が具体的に挙げられている。

  1. 気象観測ミッションと他のミッションの相乗りの可能性
  2. 静止気象衛星の観測機能の格段の向上により、従来の気象庁での利用のみならず民間を含めた新たな分野への利用の可能性
  3. 民間における静止衛星の整備・運用のノウハウの蓄積を踏まえ、静止気象衛星の整備・運用における民間活力の活用の可能性

私にとっては、最も興味あるのは2番目の項目だ。これについて参考になりそうなのが、米国の静止気象衛星GOESシリーズの動向である。米国の方でも次の衛星GOES-Rからは次世代(第3世代)の設計になることが決まっており、その概要についてもいくつかの文書にその片鱗が見えてきている。

GOES NEXT

たとえば、現在のGOES(ひまわりも同様)は可視から赤外を5チャネルで観測しているが、それが次世代衛星では16チャネルに増加するようだ。また、可視画像の解像度は0.5kmと現在の2倍、全球は5分おきに観測、指定された1000kmの領域は30秒おきに観測(これは主に台風などの激しい気象現象のトラッキングに利用)など、現在の衛星から比べると大幅に性能が向上する見込みである。また雷検出器なども搭載されるようだ。

日本の次世代ひまわりも、おそらくこの次世代GOESの仕様を参考にしながら決まっていくと考えられる。上記のスペックは素晴らしいものだが、それに応じて観測データ量の方もなんだかすさまじく増えそうである。ただ観測開始が早くてもあと7年後であることを考えると、現在の10倍ぐらいのデータ量ならなんなく対応できるはずだと期待しよう。

今年末には次世代ひまわりに関する情報が取りまとめられるようである。このブログもひまわり7号の打ち上げ完了以来ネタ切れとなっていたが、これからはひまわり8号ネタでぼちぼちやっていくことになりそうだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

中規模利用局向けの画像データ配信が電波障害で混乱

いちおうメモしておく。

静止気象衛星ひまわりの中規模利用局向けデータ直接配信の障害について

本日、15時(日本時間)頃から、ひまわり6号(MTSAT-1R)経由による中規模利用局(MDUS)向け画像データ(HRIT)の配信において、何らかの電波混信により、画像の乱れが生じています。

このプレスリリースにあるように、現在気象庁外へのひまわり6号データの配信経路には以下の4つがある。

  1. 中規模利用局(MDUS)向けHRIT
  2. 中規模利用局(MDUS)向けHiRID
  3. 小規模利用局(SDUS)向けLRIT/WEFAX
  4. 気象業務支援センター経由民間気象事業者向けランドライン配信

このうち最初の方式のみが影響を受けたとのこと。

また、MDUSの受信局は国内21局、海外37局という参考情報も出てる。なるほど。

ちなみにデジタル台風サイトでは、現在のところ4の方式を使っているので、この混信の影響は受けていない。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ひまわり7号準備完了

今年2月18日の打ち上げから半年を過ぎて「ひまわり7号」の準備が整ったようだ。

ひまわり7号の気象ミッション待機運用の開始について

東経145度で待機ということなので、東経140度の「ひまわり6号」とは少し離れたところで待機することになる。電源をオンにしてから画像を取得できるようになるまで2-3時間程度の準備時間を要するとのことだが、これで現在稼動中の「ひまわり6号」の万が一の故障にも対応できる体制が整った。

なお「ひまわり7号」は、すでに初観測画像小領域の研究観測でその片鱗を見せている。ただし「ひまわり6号」は順調にいけばあと5年以上は現役を続けるため、「ひまわり7号」の本格的な登場はおそらく2010年以降になる。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

食運用が変わる

タイトルだけ見るとなんだか不気味ではあるが(笑)、、

ひまわり6号の秋季食期間中の観測について

ひまわりは地球の赤道上にあって地球を観測しているが、地球の向こう側に太陽がきてしまうと、太陽の強い光がセンサに差し込んでしまってセンサを傷めてしまう問題が知られている。カメラで撮影する場合で言えば、強い逆光で太陽がレンズの中に入ってきてしまっているような状態。春分や秋分の期間には太陽が赤道の真上をぐるぐる回るので(もちろん本当は地球の方が回っているのだが)、赤道の真上に位置するひまわりにとっては、太陽がちょうど地球の向こう側に来てしまう時間帯が生まれてしまう。日本時間で言えば真夜中の時間帯である。

こうした問題があるので、これまでは安全策をとって、太陽が向こう側にくる危ない時間帯はそもそも観測自体をやめていた。気象衛星がひまわり6号になってより細かい制御が可能となったため、今年からはもうちょっと手間をかけて、できるだけ観測を止めないという方針に変更したようだ。つまり、太陽がどの位置に見えるのかは事前にわかっているので、危ない領域だけ観測を止めるようにすれば他の領域は問題なく観測できることになる。

これによって観測をやめる回数が300回から40回に減るということなので、短時間に発生する気象状況の急変にも、より機動的に対応できるようになると期待される。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

ひまわり6号航空通信機能に障害

ほとんどメモ程度の内容だが。。。

「ひまわり6号」航空通信機能に障害、運用を一時停止

文面から察するに、衛星側の問題というよりは、どうやら地上側の問題(バグ?)っぽい。気象衛星「ひまわり」本体には、おそらく影響ないだろう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

高速回転する大迫力の台風映像

本日、MTSAT-2の高速スキャン(rapid scan)機能を用いた台風観測画像(映像)が公表された。

The rapid scan research observations by MTSAT-2
(日本語 運輸多目的衛星ひまわり7号による小領域の研究観測について

このページでは、MTSAT-2(試験中のひまわり7号のほう)で64秒ごとの高頻度で撮影した時系列画像をつなげた映像を見ることができる。大迫力の台風映像をぜひご覧いただきたい。

これは今年の台風1号(CHANCHU)を撮影したものだが、台風のメソスケール構造として、眼の中で低層の雲が回転したり、眼の壁雲やスパイラルバンドで雲が湧き立ち流れたりする様子などが、まことに克明に記録されている。すばらしい。

従来の「ひまわり」シリーズのように、衛星本体が自転しながら撮影するタイプ(スピン方式)の衛星ではこうした撮影は原理的に困難だったが、現在の「ひまわり」シリーズのように地球に対して一定の姿勢を保てるタイプ(三軸制御方式)の衛星となってこうした撮影が可能となったようだ。これまでも米国GOES衛星によるハリケーン観測ではこうした高速撮影が使われていたが、新「ひまわり」シリーズの登場で、いよいよ太平洋の台風に対してもこうした高速撮影ができるようになったのである。

こんな大迫力の映像を、研究目的に限定して利用するなんてもったいない。ぜひ広く一般にも公開してほしいものである。

参考:ハリケーンの高速撮影

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ひまわり7号が初観測画像公開

どうだろう。ひまわり6号よりきれいな画像のように思えるが、気のせいか?

運輸多目的衛星新2号(ひまわり7号)による地球観測画像について

初観測画像は以下のページで公開されている。

運輸多目的衛星ひまわり7号による初画像

これをひまわり6号の初観測画像と比較してみると、

運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)による初画像

ひまわり6号の場合は赤外2チャネルと赤外4チャネルにノイズのような筋が見えたのに対して、ひまわり7号は赤外3チャネルにノイズのような筋が見えている。すべて完璧というわけにはなかなかいかないのだろうが、それでも他のチャネルは非常に美しい画像で、おおむね気象観測には問題なさそうだ。とりあえず2010年ごろと予想されている観測開始まで、この機能を保ってほしいものである。

ただし、ひまわり7号の画像の方が美しく見えるというのは、実はあるテクニックのせいかもしれない。

ひまわり6号の画像とひまわり7号の画像とをよ~く比べてみると、実はひまわり7号の方が白黒濃淡階調の使い方が格段にうまくなっていることがわかる。ひまわり6号の画像では黒と白のコントラストが強すぎるのに対して、ひまわり7号はほどよいコントラストに調整されているのである。つまり、ひまわり6号の運用を続けることによって、現在は衛星画像に関する知見、すなわち衛星画像のコントラストをどう調整すれば見栄えがよくなるのかというノウハウも、だいぶ蓄積されてきたということだろう。

気象通信系機器のバックアップ系には動作不良が見つかっているという、多少気になる情報も入っている。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ひまわり6号にトラブル発生

詳細は気象庁のサイトを参照。

  • 4/17 0:57 コンピュータの異常→電波の受信ができない状態→姿勢の不具合
  • 4/17 5:00前 衛星の姿勢は復旧
  • 4/17 9:26 ミッション機器の電源投入

気象通信機器は回復、気象観測機器(カメラなど)についても動作確認中とのこと。

少しずつ復旧の方向に進んでいるようだ。

  1. 運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)の姿勢の異常について
  2. 運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)の姿勢の異常について(第二報)
  3. 運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)の姿勢の異常について(第三報)

(追記)
午後9時の画像から気象観測が復活した。

運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)の気象観測の再開について

きちんとした原因究明はこれからのようである。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

「ひまわり7号」誕生

昨夜MTSAT-2が無事に静止軌道に投入され、愛称が「ひまわり7号」に決定した。

運輸多目的衛星新2号(MTSAT-2)の静止化完了及び愛称について

前回のひまわり6号(MTSAT-1R)の時は、お蔵入りしていた「みらい」なんていう名前も飛び出してきたりして、愛称をどうする?という問題が世間の話題にもなったが、今回は愛称は「ひまわり」だろうと誰もが予想していたので、なんとも落ち着いた命名日となった。

さて、運輸多目的衛星(MTSAT: Multi-functional Transport Satellite)という名前のとおり、この衛星は「多目的」な衛星である。具体的には、四半世紀を超える静止気象衛星観測でおなじみの気象観測機能(気象庁)と、次世代航空保安システムの中核となる航空管制機能(国土交通省航空局)の二つの機能を備えている。

このうち航空管制機能については、現在運用中のひまわり6号の調子がやや悪いようなので、ひまわり7号が早めに機能を引き継ぐことになるかもしれない。一方の気象観測機能については、今までにちょっとしたトラブルはあったが、おおむね順調に観測を続けている。

運輸多目的衛星の気象ミッションによると、ひまわり6号の運用は2005年から2010年(5年間)、ひまわり7号の運用は2010年から2014年以降、その期間はお互いにバックアップとしての役割を果たすことになっており、今後10年あまりの気象衛星観測はこのひまわり2機が担うことになる。

そしてひまわり2機が無事に巣立ったいま、当ブログも徐々にネタ切れとなっていきそうだ。。。(笑)

| | Comments (5) | TrackBack (1)

MTSAT-2打ち上げ3日前

MTSAT-2 / H-IIA F9 カウントダウン | 株式会社ロケットシステムによると

準備作業は順調に進んでいます。

とのこと。 今のところ天気も問題なさそうな感じだ。

種子島に行くのは時間的に不可能なので、時間があればオアゾにでも行こうかと思う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

MTSAT-2打ち上げは2月18日

本日、MTSAT-2の打ち上げが2月18日に延期されることが発表された。

ただしこれは、「だいち」の打ち上げ遅れからも予想されていたことであり、とりあえずは「想定内」の日程変更と言ってよいのではないか。

土曜日になったので、JAXA iの打ち上げ応援会場(?)も、平日よりは賑わうのではないかなと思う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

「だいち」から「ひまわり」へ

先日打上げられた「だいち」は、途中ひやっとする場面もあったが、なんとか無事に初期機能確認フェーズに移行したようで、とりあえずこれで一段落ということになった。

さて「だいち」が一段落となると、次の注目は「ひまわり」である。いや、実際のところは、次の衛星の愛称はまだ決まっていないのだが、今から「ひまわり(7号)」と呼んでしまっても問題ないだろう。きっと。

今後の打ち上げ情報は、(株)ロケットシステムのサイトで随時更新となる。H2Aロケット7号機、8号機の連続成功という良い流れを引き継いで、こちらも大成功を祈りたい。

MTSAT-2 / H-IIA F9 カウントダウン | 株式会社ロケットシステム

| | Comments (0) | TrackBack (0)

H-IIAロケットは2本の打上げが同時進行中

数日前のことになるが、MTSAT打上げロケットの準備がまた一歩前進した。

H-IIAロケット9号機 極低温点検の実施について (JAXA)

いま、種子島宇宙センターは、たいへんに忙しい状況になっているはずだ。なにしろ、1月打上げの8号機と2月打上げの9号機を、同時進行で準備しているのである。

「日本初の2本立て」 9号機とともにVABで整備中によると、このような同時進行はいままでなかったらしい。


横に倒した状態で整備中のロケットを見られる機会は過去にもありましたが、種子島で立てられた状態で、整備中の2機のH-IIAロケットを見ることができたのは、今回が初めてです。

種子島はロケット打上げが可能な期間が制限されているので、こうした同時進行は打上げペースをあげるのに効果があるのではないかと思う。

ちなみに、8号機で打ち上げるALOSの愛称募集は25日深夜までと締め切りが迫ってきた。種子島に打上げを見に行きたい人は、応募してみてはいかが?

| | Comments (0) | TrackBack (2)

運輸多目的衛星新2号も打ち上げ決定

H-IIAロケット8号機に引き続き、H-IIAロケット9号機の打上げ日も決まった。

H-IIAロケット9号機による運輸多目的衛星新2号(MTSAT-2)の打上げについて

打上げ予定日:平成18年2月15日(水)
打上げ予備期間:平成18年2月16日(木)~2月28日(火)
打上げ時間帯:15:30~16:40
打上げ場所:種子島宇宙センター 大型ロケット発射場

さて、これを見に行くか、どうするかが問題だな。

フォトギャラリー(ロケットシステム)

| | Comments (0) | TrackBack (1)

H-IIAロケット8号機 打ち上げ決定

H-IIAロケット8号機による、陸域観測技術衛星(ALOS)の打上げ予定日が、2006年1月19日に決まった。

プレスリリースは、H-IIAロケット8号機の打上げについて 。より詳細な情報は、H-IIAロケット | JAXAのページで公開されている。

また打上げが近づいてくれば、ALOS / H-IIA・F8 カウントダウンも要注目のページとなりそう。

今回打ち上げるのは、気象を観測する衛星ではなく、陸を観測するALOSという衛星である。主な目的は高分解能の地図作成で、災害時には被災地を対象とした観測を増やして災害状況把握に役立てる機能もあるとのこと。こういう貴重なデータを取得するのだから、今後は積極的にデータを公開してほしいものだと思う。

ちなみに、MTSAT-2、仮称ひまわり7号の打上げは、この次のH-IIAロケット9号機の予定。平成17年度の打上げ予定を見ると、けっこうきつそうな日程だが、H2A 9号機公開、来年2月打上げや、H2A9号機を公開・多目的衛星2号機用になどの記事によると、来年2月末までには打ち上げる予定らしい。この日程だと、今年のMTSAT-1R打上げとちょうど同じ時期になる。寒そう。

8号機の打上げにはぜひ成功してほしいと願っている。ここで失敗してしまっては、またもや混迷の時代に逆戻り。9号機の打上げはさらに何年も遅れてしまうだろうから。。

なお、このロケットに関しては、H-2A 8号機打ち上げレポートが詳しい。1月には現地レポートもしてくれそうな雰囲気である。

| | Comments (1) | TrackBack (3)

航空管制機能に障害

多目的衛星「ひまわり6号」、航空管制機能に障害(読売新聞)

国土交通省は27日、今年2月に打ち上げた運輸多目的衛星「ひまわり6号」の航空管制機器に障害が見つかったことを明らかにした。

朝日新聞の記事の方がやや内容が詳しい。

「空のカーナビ」ひまわり6号 管制機能に不具合(朝日新聞)

アジアから北米までの空域をカバーするアンテナは、空域を6分割しているが、主に日本上空と、小笠原周辺上空を担当する装置が使用不能になった。

なお、オリジナルのプレスリリースは、運輸多目的衛星新1号(MTSAT-1R)の航空ミッションの準備状況について(国土交通省)

前回は気象観測機能の故障でヒヤリとしたが、今度は航空管制機能に障害か。。。まあ、どうやってもサービス開始に間に合いそうもないので、やむを得ず公表したというところだろうか。

気象観測に障害はないというものの、やはりできるだけ早く次期衛星MTSAT-2を打ち上げて、2台体制にしておきたいところだ。

(追記 2005.11.01)

後日に見つけたのだが、関連トピックについて、気象庁長官がすでに会見をおこなっていたようだ。

長官記者会見要旨(平成17年10月20日)

Q:MTSAT-2の打ち上げ時期は。
A:今年度内の予定。
Q:MTSAT-2 の位置づけは。
A:MTSATは「運輸多目的衛星」であり、航空ミッション機能も持っている。MTSAT-2は、まず航空ミッションを遂行する上で重要な役割を果たすと聞いている。気象ミッションとしては、現ひまわり6号の運用終了後にその後継として正式運用を開始する予定であるが、それまでの間でも、ひまわり6号に不具合が発生したときに運用することとなる。

「まず航空ミッションを遂行する上で重要な役割を果たすと聞いている」というのがなんとも微妙な表現だが、これは要するに今回の障害を踏まえた上での発言なのだろう。いずれにしてもMTSAT-2の準備は、今のところ順調に進んでいるようだ。

MTSAT-2(三菱電機)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ひまわり6号が故障?

今日はひまわり6号のデータが来ないなぁ,と思っていたら,どうも今日の6時30分から観測を休止しているらしい.カメラの電源が入らないそうで,すでに6時間ほど停止したまま.台風17号が関東に接近中という時期に,なんとも間の悪いタイミングの故障である.

ところで,ニュースによると今日の9時からは米国衛星を使っているそうだが,これはもしかして,ゴーズ9号を使っているのだろうか.それとも,極軌道衛星のノアなどを使っている?

カメラの電源が入らないようでは気象衛星としては致命的な故障なので,万が一故障が直らなければ,本当にゴーズ9号の再登板という事態がありえるかもしれない...何とか直ってくれ...

(追記)
なんとか,復活したのか,気象庁のサイトには12:30の観測画像が出現した.これで安心してよいのだろうか.しかし,ヒヤッとさせるなぁ...

詳しくは気象庁のプレスリリースへ.やっぱり代替衛星はゴーズ9号だったらしい.

しかし,カメラと本体との通信には,今後もずっと予備系を使うことになるのだとすれば,システムの冗長度が下がることはないのだろうか?早くひまわり7号(仮称)を打ち上げ,万全の体制にしてほしいものだ.

| | Comments (1) | TrackBack (0)

さようなら,ひまわり5号

JAXAによるプレスリリースが出た.

静止気象衛星5号(GMS-5)「ひまわり5号」の運用終了について

本年6月28日の運輸多目的衛星新1号(MTSAT-1R)「ひまわり6号」の気象ミッションの正式運用開始に伴い、老朽化した静止気象衛星5号(GMS-5)「ひまわり5号」の運用を終了することについて報告する。

「ひまわり5号」との通信は7月21日を最後に停止し,以後「ひまわり5号」は宇宙空間をただよう単なる物体となる.つまり,この空間に存在することは存在するが,もはや地上とのコミュニケーションは途絶えるということ.まさに生から死へと変わる瞬間,すなわち死亡宣告時刻は本日7月21日の11時に決まった.

「ひまわり5号」によって得られた成果について,上記のページには以下のようにまとめられている.

(1)社会的な貢献
 打上げ後設計寿命を大幅に越えた8年間、画像を取得し、我が国のみならず世界の気象業務に大きく貢献した。
 また、待機運用に移行した後も情報配信の運用を行った。

いや,本当にそうである.「ひまわり5号」が限界まで引っ張ってくれたおかげで,後継者が引き継ぐまで切れ目なく気象観測を続けることができたと言えるだろう.上記のページには平成17年6月24日に撮影したという人生最後の(?)画像が掲載されているが,まだまだ美しい可視画像(*1)でこの面での能力は損なわれていないことが見て取れる.

(2)技術的な成果
 設計寿命の2倍を超える期間の運用によりバッテリの管理技術データを取得した。

この成果はきっと,現在の「ひまわり6号」にも生かされることだろう.

長い間,おつかれさまでした.さようなら.

(*1) この画像,なんとなく見慣れない画像である.よく見てみると,衛星の撮影位置がボルネオ島(カリマンタン島)上空になっている.通常の「ひまわり」の撮影位置よりも西にあるため,画像の西側の端にはアラビア半島まで写っているではないか.「ひまわり」が撮影したものでこのような画像を見たのは初めてである.実はかなりレアものかも...

(追記 2005.12.04)

@nifty:デイリーポータルZ:ひまわり5号にさよならをでは、ひまわり5号を望遠鏡で追跡するという試みを紹介している。なかなか面白い。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

ありがとう!ゴーズ

これまで2年あまりの間、日本の気象衛星観測を支えてきた「ゴーズ9号」が、本日(7月14日)日本時間正午をもって、日本各地への観測データの配信をひっそりと終えた。

まあ振り返ってみれば、数奇な人生(?)であった。

ゴーズ9号とはそもそも、1995年5月23日、アメリカの気象衛星として、フロリダのケープカナベラルから打ち上げられた衛星である。ところが最初から機械の調子が悪かったため、1998年7月27日には、早くも後継衛星のゴーズ10号と交代させられてしまった。そして待っていたのは、主役にもしものことがあった場合の代役として待機するという、地味で目だたない日々。主役としてスポットライトを浴びた期間は短かった。しかし実際に働いた期間が短かったために燃料が温存され、これが第二の人生につながったのだから、運命とはわからないものである。

一方、太平洋をはさんだ日本では気象衛星打ち上げ計画が誤算続きで、自前の衛星だけではもはや観測継続が絶望的な状況となっていた。そこで目をつけられたのが、これまで使えないヤツとして放っておかれたゴーズ9号である。アメリカ寄りの太平洋上空でブラブラ過ごしていた衛星を、なんとか日本が見える位置にまで移動させることによって、日本付近の観測に使うことはできないだろうか?というか、もうそのプランに賭けるしかない状況だった。かくしてゴーズ9号は、生まれ故郷から新しい任地へと、二度と戻ることのできない長い旅に出発したのだった。

とにかく長い旅だった。それまで西経105度にいた衛星が東経155度まで移動するというのだから、経度にして100度、距離にして7万キロにも達する長旅である。それまでに働きづめの衛星であれば、こんな長旅に耐えるだけの余力は残っていなかっただろうが、ゴーズ9号はそれまで何もせずにブラブラしていたので、まだ余力はずいぶんと残っていた。

数ヶ月かけてゆっくりと宇宙空間を移動したゴーズ9号は、日本が見える位置にまで無事に到着し、いよいよ登場への準備は整った。そして2003年5月22日、もはや満身創痍の限界に達していた「ひまわり5号」は、ゴーズ9号に任務を引き継いだ。これまでの5年間、人生の半分以上も代役に甘んじていたゴーズ9号に、ついに主役の舞台が回ってきたのだった。

それから2年あまり、オンボロ衛星などと揶揄されつつも、ゴーズ9号は与えられた任務を黙々とこなしていった。オンボロではあったが、みんなに頼られた。この衛星にもしものことがあれば、多くの人が困るのである。なんとか生きながらえてもらわなければならない。そんな願いを受けたゴーズ9号は、意外としぶとかった。画像はノイズだらけだったが、それでも致命的な故障は起きなかった。

しかし、そのゴーズ9号の人生にも、やがて終わりが近づいてきた。日本の気象衛星打ち上げは、当初の計画から5年以上も遅れた2005年、ついに後継衛星である「ひまわり6号」の稼動に成功したのである。「ひまわり」というピカピカの御曹司が登場してしまっては、もはや老体のゴーズ9号に用はない。こうしてゴーズ9号は、本命の後継者が無事に働き始めるまでのつなぎ役として、残り少ない人生を送ることとなった。

2005年6月28日、ひまわり6号観測開始。ついにゴーズ9号は主役の座を降りた。そして、2005年7月14日、ゴーズ9号はデータ配信を停止し、表舞台からも退くこととなった。ゴーズ9号が日本の気象衛星観測の表舞台に再登場する可能性は、もはや限りなく低くなった。

しかし、アメリカでは不遇の人生を送っていたゴーズ9号。それが異国の地で2年あまりにわたって主役を務めるなど、誰が予想しただろうか。ゴーズ9号にとってもこの第二の人生は誇らしい日々であったに違いない。

ありがとう! ゴーズ。

(追記)アメリカではゴーズ9号はまだ現役で活躍しているようである。上記の物語は、日本からみたゴーズ9号の物語ということで、お読みいただきたい。

| | Comments (4) | TrackBack (1)

ひまわり6号、本日からスタート!

2005062803

日本時間12時、いよいよ「ひまわり6号」が正式運用を開始!

ん、でもシステムトラブルからか、なかなか画像が配信されてこないぞ、、、 ようやく14時20分ごろ、サーバに新しい「ひまわり6号」のデータがアップロードされてきた。

準備しておいたプログラムをさっそく走らせてみる。いくつかのトラブルはあったが大した問題ではなく、1時間ほどで最初の「ひまわり6号」の画像が完成。順次ウェブサーバにアップロードしていく。それがコチラのページ。特に水蒸気画像(IR3)は、画像の階調が大幅に増えて非常に滑らかになった。渦を巻く地球大気の姿がより細かく見える。

その後もシステムは快調に動き続け、思ったよりもスムーズに移行が進みそうな雰囲気である。「ひまわり6号」のデータフォーマットは、「ひまわり5号」以前のデータフォーマットよりもだいぶ整理され、見通しのよいものになっていた。まだいろんなところにバグは残っているが、とりあえずは見ないことにしておこう。。


ところで、本当に、ほんとうに残念なことながら、実は「ひまわり6号」の美しい可視画像をまだ眺めることができない。システムとしては可視画像に対応しているのだが、気象庁および気象業務支援センターが、そもそも可視画像を配信していないのだ! 

事情(の一部)については、やはりコチラのページにまとめた。気象庁の内部事情はなかなか外から見えないのだが、「インターネット配信?? 衛星配信があるんだからそれで十分でしょ」と考えているのかもしれない。しかしインターネット環境は、数年前よりも格段に改善している。よほどの防災重要拠点や大手の気象専門会社を除けば、アンテナ設置よりもインターネット接続こそが安価で高速なデータ配信手段であり、データの利用を広めるための最も有効な手段であることは明らか。それなのになぜ、インターネット配信を軽視するような決定を下すのだろうか? ここで改めて、インターネットを含めた多様な配信方法を考え直してほしい。 

| | Comments (1) | TrackBack (1)

ひまわり6号は6月28日から

ついに正式決定したようだ.

運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)の運用開始日について

6月28日(火)12時から気象ミッション(気象観測機能)の正式運用とのこと.

なんとか当初の宣言どおり,6月中に間に合わせたというところか.あるいは,(私のように)対応が間に合わない人たちのために,暇でもつぶしながら待ってくれていたのかもしれない.

さてさて,日程が決まると,というか締め切りが目前に迫ると?,こちらも俄然やる気が湧いてくる.いよいよ追い込みモード...

| | Comments (1) | TrackBack (2)

ひまわり6号の試験配信開始

5月31日正午から、予定通り、ひまわり6号による試験配信が開始された。

気象庁のページ

気象衛星観測について

では、最近になって次々にひまわり6号情報が更新されるようになった。画像を見ると、やっぱりオンボロなゴーズ9号よりもはるかに美しい。特にそれがよくわかるのが、

運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)による雲画像

ノイズだらけのゴーズ9号可視画像に比べ、ひまわり6号の可視画像は川筋までくっきり見えている。

ひまわり6号はもうすぐ発生する(?)台風4号の観測にさっそく活躍しそうである。正式運用は順調にいけば6月中旬からとのこと。

| | Comments (1) | TrackBack (4)

ひまわり6号、正式発表出た。

正式発表出ました。

運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)の運用開始に向けた今後の予定について

5月31日(火)から衛星経由及び地上回線(気象業務支援センター等)による観測画像の試験配信を開始し、6月中には気象ミッションの正式運用を開始する予定です。

ん、自分の方は、まだ何も準備ができていないような気が、、、

| | Comments (2) | TrackBack (0)

来月にも本格運用

ネット上では記事が見つからないのだが、日経新聞2005年5月15日朝刊(社会面)に、ひまわり6号の記事が登場した。


ひまわり6号 来月にも本格運用 機能確認試験が順調

とな国土交通省・気象庁の運輸多目的衛星「ひまわり6号」の機能確認試験が、大きなトラブルも無く進んでいる。気象観測機能の本格運用は、準備に万全を期し、当初予定の五月末から六月にずれ込む見通しだが、同庁は「梅雨の終わりごろまでには間に合わせたい」としている。

(以下略)


地上側の機器設定に手間取っているとのことだが、これはおそらく、今回から気象衛星と地上の間の通信方式を大幅に刷新することが響いているのではないだろうか。

新聞記事にもあるように、ひまわり6号は約1億3千万画素と、ひまわり5号の約8400万画素から大幅に解像度がアップする。また画素数ばかりでなく画像の階調についても、6~8ビットから10ビットへと向上する。これは、最近の高級デジタルカメラに標準装備となりつつあるRAWモードのように、標準的な256階調(8ビット)よりもさらに細かい階調を記録できるようになるという、目立たないけれども重要な改善なのである。

しかし高級デジカメでRAWモード撮影すれば小さなメモリがすぐに埋まってしまうように、「ひまわり6号」の画像データも「ひまわり5号」に比べてサイズが大きく膨らんでしまうこととなった。これまでの気象衛星と地上の通信方式では、この大きな画像データをもはや地上に送りきれない。そこで今回は新しい通信方式を導入し、高精細の画像も高速に伝送できるように変更する(*1)。

しかし古いフォーマットもすぐには捨てられないため、しばらくの間は新旧のフォーマットが混在して、複雑な運用が要求されるようになる。そのあたりのソフトウェア的調整に手間取っているのではないか、というのが私の想像である。また、気象衛星データの全体的な処理系も10ビット対応へと入れ替える必要がありそうで、もしかするとここも手間取るのかも。

「梅雨の終わりごろに間に合わせる」という発言からは、来月といっても早くとも後半ぐらいの運用開始を念頭に置いているような雰囲気が伝わってくる。当初予定よりも1ヶ月遅れといった感じかな。

(*1) 旧方式(ひまわり5号のMDUS向けS-VISSRデータ伝送速度)は660kbpsなのに比べ、新方式(ひまわり6号のMDUS向けHRITデータ伝送速度)は3.5Mbpsへと、従来比5倍以上の高速化を達成している。現状はおおよそADSL並みの速度といったところか。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

ひまわり6号が始動【祝】

ちょっとマニアックなネタかもしれないが、、、

WEFAX dissemination schedule will be changed from 05UTC 28 April

これが「ひまわり6号」(MTSAT-1R)の初仕事となるはず。WEFAX(*1)の中継配信機能を、4月28日に、「ひまわり5号」(GMS-5)から受け継ぐという内容のお知らせだ。

あれ、そういえば「ひまわり5号」ってまだ生きてたの? と思う方もいらっしゃるかもしれない。というのも、すでに2年も前に、「ひまわり5号」が引退して「ゴーズ9号」にバトンタッチしたはずだからだ。

実は正確に言うと、以前にバトンタッチしたのは気象観測機能で、中継配信機能についてはバトンタッチはなかったのだ。「ゴーズ9号」が気象観測を行っている裏で、「ひまわり5号」はWEFAXやその他のデータを中継するという任務を引き続き担当してきた。そしてこの2年間、「ゴーズ9号」で観測した気象衛星画像を「ひまわり5号」が中継するという、何ともややこしい状態が続いていたのである。それも今回、この機能を「ひまわり6号」が引き継ぐことで、「ひまわり5号」もいよいよ現役引退の日が近づいてきた。

それはともかく、「ひまわり6号」が着々と準備を整えているようで、まずはめでたい。上に紹介した気象衛星センターのリンク先ページの記述によると、


Operational dissemination of imagery is tentatively expected to start in late May.

とのことなので、こちらも早く準備を整えていかないといけないな。。。

(*1) WEFAXとはweather facsimileの略で、主に船舶や航空機が利用している、簡易型の白黒気象画像配信システムである。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

初めての撮影画像公開!

平成17年3月24日午前11時、運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)によって撮影された初画像が公開された。

運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)による初画像(気象庁)

新聞記事でもいくつか取り上げられているが、たとえば毎日新聞ひまわり6号:初めて撮影の気象観測画像を公開によると、


村松照男・気象衛星センター所長は「ひまわり1号から見続けてきたが、最も鮮明な画像。」

だそうである。これはよいニュースだ。

早速気象庁ウェブサイトをチェックしてみる。可視画像では、隅から隅まで雲が鮮明に捉えられていて、妙なノイズもなさそう。これはイイぞ。それに対して赤外1と赤外2にはライン状のノイズが見られる。赤外3はキレイだが、赤外4にもノイズが見られる。このようなノイズは正式運用前には解決できる問題だとは思うが、ちょっぴり心配だ。

また今回が静止気象衛星への初搭載となる注目の赤外4は、他の赤外チャネルとはだいぶ様相の異なる地球が捉えられており、今後の雲分類の精度向上に使えるのではないかという期待を感じさせる。

それにしてもひまわり6号は打ち上げから順調のようで、これまでのゴタゴタが嘘のようなスムーズな展開。画像を見たところでは、センサの動作に致命的な問題はなさそうだ。あとは、画像に現れているノイズが重要なものなのか、またそれをいかに取り除くのか、あたりが問題かな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

愛称は「ひまわり6号」

愛称は「ひまわり6号」 国民に定着と国交省

多目的衛星が静止軌道入り、愛称「ひまわり6号」に

以前の記事からの意外に早い展開に驚いたが、どうやら愛称は「ひまわり6号」に決定したようだ。

正式名称はMTSATで、愛称は「ひまわり6号」。落ち着くべきところに落ち着いたような感じである。まあ、愛称のことで内輪モメをしていても時間の無駄だし、やはり世論の後押し(マスコミからのリーク!?)が効いたのだろう。

さて、愛称が決まってイメージも湧いてきたことだし、衛星も静止軌道にのったことだし、いろいろなことが具体的に動き始めそうだ。まさか、実はセンサ不具合でした、なんてオチはないだろうね。頼みますよ、ひまわり6号さん。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

順調に飛行を続けるMTSAT

太陽電池パネルを展開 運輸多目的衛星の動力源

これまでのところ、MTSATの飛行はきわめて順調のようだ。エンジンの点火も予定通りだったが、本日、動力源の太陽電池パネルの展開にも成功したらしい。一つずつ難関を突破している。

3月8日には静止位置に到着する予定。3月末にはテスト撮影に入れるようなので、撮影画像が届くのを心待ちにしていよう。

(追記 3月6日)

産経新聞:運輸多目的衛星、3月8日にも静止位置にの図がわかりやすいので、リンクを追加。

(追記 3月7日)

毎日新聞:MTSAT-1R: 太陽電池パネルの展開に成功の記述が最も具体的だ。以下の記述を読むと、この作業が「静止までの作業の中で最も難しい」というのも納得がいく。


気象庁によると、太陽電池パネルは6本のボルトを使い、三つ折りの状態で収納されていた。5日午前6時すぎ、カッターを爆薬で作動させてボルトを切断し、ばねの力で展開した。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

いわゆる「ひまわり後継機」の愛称はどうする?

まだMTSAT-1Rがきちんと動作するか確認されたわけでもなく、時期尚早ではあるのだが、ロケット打ち上げは一段落したことだし、いわゆる「ひまわり後継機」の愛称はどうするの? という話がそろそろ出てくることだろう。

宙に浮く愛称 気象衛星ひまわり5号後継機


今回の打ち上げは、日本の宇宙開発にとって背水の陣。気象衛星も相次ぐトラブルでがけっぷちにあり、気象庁は「いろいろゴタゴタしたので愛称は考えていないし、今のところ公募の予定もない」という。

同庁気象衛星室では「ひまわりは非常に愛着のある名前だったので、“ひまわり6号”と呼ぶ人もいるかもしれない」と話している。

打ち上げに失敗した前回のMTSAT-1の時には、一般公募によって新しい愛称も内定したのだが、結局これが公表されることはなかった。今度の衛星では、この幻の愛称がようやく公表され、使われることになるかもしれない。

が、誰にとってもわかりやすい愛称である「ひまわり6号」をあえて変える必要はあるのだろうか? 「ひまわり」は「アメダス」と並ぶ気象庁の2大「ブランド」。その懐かしい愛称を待ち望んでいる人も多いはずだ。もちろん私も、その一人である。

(追記 22:40)

ひまわり?MTSAT?気象庁と国交省命名で“衝突”

へえ、お蔵入りした愛称は「みらい」だったのか。知らなかった。実は「みらい1号」だったのかな。ただこの愛称は「縁起が悪い」とのことなので、今後登場することはなさそうだ。

国土交通省と気象庁との対立は、残念ながら根が深そうである。そもそも国土交通省(航空局)としては、今回のMTSATに気象衛星を相乗りさせてあげたことで、予算不足の気象庁に恩を売ったつもりなのだろう。今回の衛星は報道では気象衛星ばかりがクローズアップされているが、あくまで航空管制機能が主で、気象観測機能は「ついでに乗せてあげている」に過ぎないということになっている。

しかし結局のところ、マスコミは勝手に「ひまわり6号」と呼び出すだろう。そしてそれが国民にいつの間にか定着する。MTSATなんて無粋な名前は、まず使わないと思うのだが。

| | Comments (2) | TrackBack (1)

その他のカテゴリー

MTSAT | ロケット打ち上げ | 旅行記 | 気象