雲がヌルヌル動いていく「ひまわり8号」の素晴らしい映像
先日の「ひまわり8号」による初画像の公開では静止画しか公開されなかったひまわり8号であるが、ついに素晴らしい動画が公開された。
ついに世界がひまわり8号の真価を目にする時が来たと言ってもよい。カラー化よりもなによりも、時間解像度が1ケタ上がることこそが、ひまわり8号の最大の価値だと私は考えるからである。
時間解像度が1ケタ上がるというのは、具体的には日本付近(あるいは指定した小領域)の観測頻度が、従来の30分間隔から2.5分間隔へと10倍以上に向上したことを指している。これによって初めて、我々は「雲がヌルヌル動いていく」動画を目にすることができるようになったのである。
私は一足先にこの感動を味わえたので、1か月ほど前のツイートにこう書いた。
先ほど初めて、ひまわり8号日本域の動画を見てみたが、想像を越えてすごかった。フレームレートが10倍になると、フレーム間の動きを脳がリアルタイムで補間できるようになる、という感覚。カクカク動く写真が滑らかに動く映画になったとき、人々が味わった感動と似てるのかもしれない。
— 北本 朝展 (@KitamotoAsanobu) 2015, 3月 12
つまりひまわり8号では、ある観測と次の観測の間での雲の動きが滑らかになったので、高度な補間をしなくても雲の動きが直感的に理解できるようになったのである。気象庁のページでは火山噴火の動画も面白いが、噴煙が風に流されつつ広がっていく様子は、小学生でもすぐに理解できるだろう。このインパクトは大きいと思う。
さて、ひまわり8号のデータをどうやってうまく活用していくか、それがこれから夏にかけての私の課題である。高頻度データをフル活用した見せ方をどうすればいいか、という楽しい課題がある一方で、この大量のデータをどう処理すればいいのか、という悩ましい課題もある。データを処理し提供する立場から見れば、ひまわり8号のデータに対処するには、ストレージや計算機についても従来より1ケタ上の能力が必要となる。それらをどうやって調達するのか、新世代気象衛星は新たな挑戦を突きつける存在でもあるのだ。
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