気象衛星ひまわり8号、9号を運用する民間事業者は三菱UFJリースグループに決定
4年後をメドに打ち上げが始まる次期気象衛星ひまわり8号と9号を運用する民間事業者が8日に決定した。
「静止地球環境観測衛星の運用等事業」の民間事業者の選定について
まずひまわり8号と9号は気象庁が直接運用するのではなく、民間資金を活用して民間事業者によるPFI方式で実施されることになった。それに伴って2010年初頭にスタートした民間事業者の選定に関する入札がこのたび終了し、以下の事業者が落札したことが公表された。
落札者:三菱UFJリースグループ
代表企業:三菱UFJリース株式会社 (プレスリリース)
構成員:新日鉄ソリューションズ株式会社、宇宙技術開発株式会社
全体の代表を三菱グループの企業が務めることで、ひまわり8号とひまわり9号が三菱電機製造になるのとあわせて、三菱グループが気象衛星ひまわりを全体的にサポートすることとなった。そして、宇宙技術開発株式会社の人工衛星の運用ノウハウと、新日鉄ソリューションズのソフトウェア構築技術を合わせて、衛星の運用を担っていくということになろうか。
落札価格は292億円、事業期間は平成42年までと、非常に長期にわたる事業である。気象庁が運用する現状と比べて今後どのようにサービスが変わっていくのか、見守っていきたい。
なお、これは偶然なのだろうが、今回の落札価格292億円は、ひまわり2機の落札価格294億円とほぼ同じである。つまり、モノ本体の値段と、その保守運用のための値段(施設建設も含む)は、ほぼ同じということになる。
(追記:2010-07-12)
今回の入札には、オフィシャルリリースには書かれていない大波乱があったようだ。
特許庁のコンピューターシステムを巡る汚職事件が、気象庁発注の300億円規模の入札に思わぬ余波を広げている。贈賄容疑で社員が逮捕された情報システム最大手「NTTデータ」が指名停止になった影響で、N社と共同で気象衛星運用事業に応札していた衛星通信会社「スカパーJSAT」社は8日の開札を待たずに“失格”が決まった。とばっちりを受けたス社は、内閣府の政府調達苦情検討委員会への申し立てを検討している。
うーむ、これは確かに、運が悪いとしか言いようがない。
スカパーJSATは「衛星の運営はほぼすべてスカパー側で行う予定だったため、納得できない」(広報・IR部)と反発している。同庁総務部は「指名停止処分は内規に従って淡々と行った結果」としている。
今回の件は、スカパーJSATにとってもまたとない大型案件だったはず。例えば2008年に開催された第3回静止気象衛星に関する懇談会でも、JSATは民間事業者のヒアリングに参加して受注への意欲を示していた。指名停止処分があと数日遅ければ、スカパーJSATも入札に参加できたのだろうか。スカパーJSATが実際に落札できたかどうかは不明だが、スカパーJSATとしてはぜひとも獲りたい案件だったに違いない。
しかし、入札指名停止の是非は別としても、このような入札劇の裏側を書いたメディアと書かないメディアがあるのは、どういう方針の違いなのだろうか。私がざっと読んだプレスリリース丸写し系メディア(?)の範囲では、こんな波乱があったという気配を感じることはできなかった。うかつにもこの件を見逃してしまった、私自身のメディアリテラシーについても反省したい。
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