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気象衛星「ひまわり」画像で皆既日食観測

2009年7月22日の皆既日食を気象衛星「ひまわり」で観測した画像が、気象庁のウェブサイトで公開されることになった。昨日14日と直前まで待って発表したのは、「ひまわりの日」(1977年7月14日に「ひまわり1号」を打ち上げ)に「ひまわりの日食」ニュースというしゃれだろうか。。。

平成21年7月22日の日食時に、静止気象衛星「ひまわり」が観測した画像を気象庁ホームページで公開します

私自身も似たような目的のページを立ち上げていたので、あれれ、本家が来ちゃったかという感じである。

デジタル台風:2009年7月22日の皆既日食

ただ、私としてはそれほど力を入れていたページではないし、本来的には気象庁がやるべき仕事なのだから、気象庁がこの種のイベントに取り組んだということ自体を歓迎したいと思う(*1)。つい最近も後継機の予算不足という問題でいろいろあったのだから、「ひまわり」を宣伝できる機会はどんどん活用すべきだし、何年も前から日食はわかっていたのだから、科学館などに「ひまわり」画像を売り込んだり、ひまわり画像を入れた日食メガネ(笑)などを作ったりするとか、もっと工夫の余地はあったのではないか、と言えるかもしれない。

さて今回の発表のポイントであるが、観測間隔が15分だということ、現在稼働中の「ひまわり6号」を使うのではなく待機中のひまわり7号を使うこと、の2点であると私は考えている。以下でその理由を説明したい。

まず観測間隔について。運輸多目的衛星ひまわり6号の観測・配信スケジュールを見ると、全球観測は21分、北半球のみあるいは南半球のみの半球観測は12分を要し、全体として1時間に全球が1回、半球が2回(うち1回は風観測)、というのが最大の観測回数となっている。つまりこのスケジュールに従う限り、どれだけ頑張っても15分間隔での観測を実現することは不可能なのである。

いくら皆既日食が特別なイベントだとはいっても、国際的にも重要な「ひまわり」データの配信スケジュールを変更することはできない。もしその時間帯に気象災害が発生すれば、皆既日食にうつつを抜かした気象庁の責任が問われてしまう。以上の事情があるので、1時間2回(30分間隔)の日食観測が限界だろうと私もこれまでは考えていた。

ところがここで気象庁は裏技(?)を繰り出してきた。なんと待機中の「ひまわり7号」を活用するというのである。これなら、全世界的な配信スケジュールに縛られないので、自分の好きなように観測プランを作れることになる。「ひまわり7号」のセンサの仕様は「ひまわり6号」と基本的に同じはずなので、半球の観測は12分で終わる。つまり、半球観測をガンガン繰り返せば、15分間隔での観測が実現できることになる!

実は観測間隔15分というのは、「ひまわり7号」が待機していたからこそ初めて実現可能となったプランなのではないだろうか。思わぬ場面で気象衛星の予備機が役に立つものである。。。

ただ宇宙から見る月の影 - H21/7/22日食時の「ひまわり」画像を深読みすると、さらなる疑問が湧いてくる。これ、どうやって実現するのだろうか。

気象庁は9時から15時までの気象衛星画像を提供すると書いている。確かに日食マップでは地球上を月の影が移動する時間帯は10時~13時頃が中心となっているので、この時間帯を観測すること自体に疑問はない。しかし通常のように、北半球のみ、あるいは南半球のみを対象とする12分観測では、上記の観測は実現できない。なぜなら、月の影は北半球から南半球に向けて赤道を横断してしまうので、その時間帯は日食が画像の端で切れてしまうからである。さて、どうするのか。簡単に考え付く対処法は以下の二つであろう。

  1. 観測は半球だが、日食の移動に合わせて観測範囲をずらすことで、12分で観測する。
  2. 観測は全球だが、倍速でスキャンすることにより、通常の半分の時間で観測する。

どちらも通常の観測では使わない裏コマンド(?)のようなもので、そんなコマンドがあるのかどうかさえもわからないが、当日の画像を見ればどちらの方法かは判明するかもしれない。いずれにしろ通常のやり方では、15分間隔の観測を実現するためのハードルが意外にも高いことがわかる。

まあ以上はすべて私の勝手な推測であって、実際にはサクッとできるのかもしれないのだが、いずれにしろ発表文を深読みしてみると、今回の気象庁のプランはかなり意欲的なものであることが見えてくる。ここまでサービスしてくれるとは思ってなかった、というのが率直な感想である。

ちなみに、「ひまわり」による日食観測の成功には「晴れを祈る」必要がなく、むしろ曇ってくれた方が影が見やすいのだが、まあそんなことを言っても多くの人に恨まれるだけなので(苦笑)、当日の晴天を心から祈りたいと思う。

(*1) 実は2ヶ月ほど前に某センターに対して、日食画像の即時的活用や小領域観測を用いた地表上の日食移動の観測などを提案したのだが、全く無視(?)されてしまっていた(苦笑)。どうなっているのかと思っていたが、こういう形で気象庁の対応が進んでいたとは。。。

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