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ひまわり後継機は気象庁が単独で調達することに

すでに数日前からニュースは出ているが、ひまわり後継機の予算不足の問題は、気象庁が単独で調達することで解決を目指すこととなった。

ひまわり後継機、気象庁が予算要求…運用の民間委託も検討

この件については、今年の初めから気象庁が懇談会を開いて費用確保の方法を検討してきたが、有望な方向を打ち出すことができなかった。

「静止気象衛星に関する懇談会」中間取りまとめの公表について

そして、一時は打ち上げが危ぶまれる状況(というストーリー?)になっていたが、最終的に気象庁が80億円の予算を概算要求に計上するという方向で、ひとまず決着を迎えた。

ところで、読売新聞の記事だが、予算の要求を認めたのは国土交通省ということになっている。

現行の2基を相乗りで打ち上げた国土交通省航空局が後継機から手を引く方針を打ち出したため、予定通りの打ち上げが危ぶまれていたが、台風の進路や地球温暖化の監視を担う衛星の重要性は高まっており、同省も予算を確保し気象庁単独で打ち上げることを認めた。

もしかすると予算要求を嫌がっていたのは国土交通省だったのかも。これまでの経緯について、想像をたくましくしてみよう。

気象庁から見ると国土交通省は親のような立場にあたる。子の気象庁が困っていれば面倒を見る立場だし、国土交通省は予算規模が大きいので全体としては面倒を見る力がある。しかしできるだけ親の負担は少なくしたいから、「なんとか自分で金を見つけてこい!」と気象庁にハッパをかけた。しかし有効な手立てを見出せなかった気象庁は、「いろいろやってみたけど、もうどうにもならないっす。。」と国土交通省に泣きついた。そうなっては国土交通省も、親の立場としてなんとかしなければならない。別に突き放してもいいのだが、親だって実は「ひまわり」がないと困るのである。「ったく、しょうがねぇなぁ~」ということで、特定の局が負担するのではなく、省全体でサポートするという形で、80億円の概算要求を認めたというあたりかもしれない。

しかし、まだ予算要求できた(つまり予算の優先順位を高くしてもらえた)というだけで、財務省が認めたわけではないから、まだまだ楽観視できる状況にないのも確かである。今後も世間でこの話題が盛り上がることを期待したい。

なお、この話題に関する最近のページとしては、以下が話題豊富である。

気象衛星観測に空白の危機・頼りは中国?

この記事には、私も時折触れてきた、中国の気象衛星「風雲」の話題が出ている。確かに中国の衛星を使ってもある程度までは代替可能だろうが、だからといってアウトソーシングで経費削減、が万能の解決策でもなかろう。今後の国際貢献を考える上でも、「ひまわり」を確保しておくことは大きな武器になるのではないかと思う。

(追記:2008-08-27)

気象庁の概算要求概要が公表された。

平成21年度概算要求概要

次期気象衛星に77億3200万円の予算を計上し、「最重要課題として、次期気象衛星(静止地球環境観測衛星)の整備に着手する。」との文言が入った。今年はじめからの各種の懇談会その他は、まさにこの一文を書いても許される(?)環境を作るためだったから、これをもって第一ステージは終わったと言えるだろう。

ただしその影響で、主要施策の予算額が前年の34億から118億へと大幅に増加している。国の予算削減の折、これは目立つ、のかもしれない。

話は変わるが、新田次郎著「富士山頂」には、富士山レーダーの予算の説明のために大蔵省に行くシーンが冒頭に出てくる。富士山レーダーの必要性に関してくどくどと長ったらしく説明していたら、主計官に「説明をひとことで云い表すことばはないか」と聞かれ、そこで「台風の砦」というキャッチフレーズを持ち出したのが効いたか、満額に近い予算が認められたというシーンである。

今でも同じような予算説明が行われているのかはわからないが、次期気象衛星の新規予算規模は気象庁にとっては富士山レーダーに匹敵するような規模かもしれず、同様にうまい説明や「ひとことで表現する」キャッチフレーズが必要となる。第二ステージではそのために再び知恵が集められることになるだろう。

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