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ひまわり後継機の予算がない問題に関する社説

読売新聞の社説に、ひまわり後継機の予算がない問題が取り上げられた。

次期気象衛星 観測の空白は許されない(7月21日付・読売社説)

書き出しは最近気象庁がミスを連発しているという問題。これはどうでもいい。いや、どうでもいいわけではないのだが、本題には関係ない。

さて本題のひまわり後継機の予算がないという問題である。まずは背景説明。

現在の気象衛星「ひまわり」は2015年に寿命を迎える。気象衛星の製造には最低5年かかるため、観測を継続させるには、次期衛星の関連費用を来年度予算で確保しなくてはならない。

しかし、まだ予算を確保できていない。だから、

気象庁は、早々に予算のめどをつける必要がある。

その通り。ただ、必要性を認識しただけで予算が湧いてくるわけではないので、気象庁は他省庁、あるいは政治家に対して、もっと積極的に予算獲得運動せい、ということだろうか。

政府全体として、もう少し戦略的に、衛星の調達に取り組む体制を整えることも大切だ。来月には宇宙基本法が施行され、宇宙戦略作りが本格化する。そこに、気象衛星も位置づけるべきだ。

国の厳しい財政事情を考えると、単に気象衛星に予算をつけてくれと言っても拒否されてしまうだろうから、単独の案件ではなくもっと大きな枠組みの中に位置づけるしかない。そこでキーポイントなるのが宇宙基本法であり、宇宙開発戦略本部のようである。宇宙開発戦略本部では政治家が今後の宇宙開発の指針を決めることになるようだが、その中に「ひまわり」をうまく位置づけてもらえれば、予算も確保できるかもしれない、というのが今のシナリオか。

ともかく、国民が広く受ける利益でコストパフォーマンスを測れば、「ひまわり」に勝てる衛星はおそらく他にはないだろうから、実務的にはいろいろあるとしても、最終的にはそこの点を国民的に広く支持していただくのが最も強い力になると思う。ただし気象衛星「ひまわり」には別の問題もある。

気象衛星の観測機器の性能向上にも、取り組む必要がある。現在は、海外のメーカーしか、気象観測に必要な機器の製造技術を持っていない。どう研究開発に取り組むのか。これも、気象庁任せにはしておけない問題だ。

そうは言っても、これはむしろ気象庁にはどうしようもない問題で、「日米衛星調達合意」という核心問題に触れないで議論をしてもむなしい感がある。

日米衛星調達合意の問題については以下のページが詳しく述べているが、

日本の宇宙開発利用の今後―日米90年合意について―

こういう問題があって「ひまわり」を国産できないのであるから、まずはこの合意をどうするかという問題に取り組まなければ、社説で述べられた問題は根本的には解決しないだろう。アメリカに対してこの合意の修正を提案するとすれば、それもやはり政治の問題である。ただしすぐに何とかできる問題ではない。

ひとまず予算については、この夏がかなり重要な運動期間になるのかもしれない。こうやって色々なメディアで、この問題をどんどん取り上げて欲しいものである。

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