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第3回静止気象衛星に関する懇談会

少し遅くなったが、4月25日に第3回静止気象衛星に関する懇談会の議事概要が出た。

静止気象衛星に関する懇談会について

第1回第2回とは異なり、今後につながる話題も見えるような議事進行になっている。

今回の懇談会は、民間衛星通信事業者を招いて議論するというのが趣旨であるが、今後につながる話の流れとなったのは、基本的に事業者がこの計画に前向きだからであろう。つまり、「やるかやらないか」の議論ではなく、「どういう条件ならやるか」の議論になっており、議論のポイントが比較的明確になっている。

まず今回の議論ではPFIという言葉が登場し、これが主な話題になっている。PFIとはPrivate Finance Initiativeの略、つまり公共的な事業を民間資金を活用しておこなう手法を指す。衛星運用のような公共性の高い事業はこれまで国がリスクを負ってやっていたが、そのリスクを民間も負うことによって、民間にも事業機会を生み出すことができることになる。最近は様々な事業に関してPFIが試されているが、衛星の運用に関しては日本初の試みだそうだ。

素人の印象としては、衛星運用ではPFIの意義はそれなりにあるのではないかと思う。民間事業者はどちらにしろ通信衛星など他の衛星を運用しなければならないのだし、その事業に新たに気象衛星を付け加えたとしても、気象衛星だけをやる場合に比べれば追加的な負担が少ないことは想像できる。また民間事業者であることから継続性に疑問も生じるが、しかし通信衛星など他の衛星の運用も請け負っている以上、参入が容易な他業種のように頻繁に撤退・譲渡が生じることはなさそうである。もちろん絶対にトラブルがないとは言えないが、それを考慮しても、衛星運用をアウトソーシングすることには合理的な理由がありそうだと思える。

また議論の中には、興味深い発言も見られる。


1990年の日米衛星調達合意によって気象衛星は非研究開発衛星として整理されており、気象衛星の本体に関して技術開発を多分に行うことはない(以下略)

1990年の日米衛星調達合意によって国の非研究開発衛星はオープンな国際調達を行う必要があるが、民間には適用されないメリットもある。

気象衛星「ひまわり」の打ち上げがあまり盛り上がらない理由の一つには、「ひまわり」で儲かる人が少ないという点もあるだろう。「ひまわり」衛星を製造しようと思っても国際調達をすべしという縛りがあるため、結局米国のメーカーが製造することになってしまい、日本企業はあまり潤わない。しかも第2回で話題になったように、データの販売でも儲かる見込みが薄い。結局、「ひまわり」は確かに必要だけど誰も儲からないよね、、という構図になってしまっている。儲からない話にサポーターが少ないのは世の常だし、「非研究開発衛星」に指定されてしまっては研究という面でもサポーターは少ないだろう。これでは予算も確保しにくい。邪推ではあるが、今回のPFIで国際調達の縛りが解けて衛星の製造でも儲かるという話になれば、サポーターが増えてくるという目論見もあるのかもしれない。。。

もう一つの話題は衛星の相乗りである。質疑では相乗りする衛星によって衛星の位置を動かせるのかというものがあるが、気象庁としては東経140度という位置は動かせないという主張で、私もそれは全くその通りだと思う。したがって相乗り衛星については、相変わらず明るい話題はないようだ。

まあとにかく、PFI方式がうまくいくかは、以下の議論につきるだろう。


委員:衛星の運用のみを民間に任せられても、企業として収益が上がると思っておられるのか。

事業者:収益が上がるだけの契約をしていただきたい。民間には人的リソースも含めて十分なものがあるので、気象庁が自ら衛星運用を行うよりもコスト面でのメリットはあるだろう。

つまり儲かるような事業にしてくれるならやりますよ、ということで、ある意味当たり前のわかりやすい結論である。衛星運用についてはVFM (Value for Money)、つまり官が運用する場合に比べたコスト削減効果が大きいと見込めるので、ここにコスト削減効果と事業者の収益機会があるだろうということになる。

それは確かだが、しかしそもそも問題になっていたのは、衛星本体の打ち上げ費用の工面なのではなかっただろうか。確かに衛星運用はPFIに向いているとしても、肝心の打ち上げ費用のメドがつかないのではすべてが絵に描いた餅である。こちらも民間資金は活用できるのか。私もまだPFIについてはよくわかっていないのだが、そのあたりが今後の話題となりそうな気もする。

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