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よくやったぞ、MTSAT-2打ち上げ

見事な打ち上げだった。直前のトラブルもほとんど発生せず、すべてが予定通りに進行した。1ヶ月の間に2機を打ち上げるというハードスケジュール、これまでで最も重い4.6トンの衛星を打ち上げるという技術的課題をクリアしたことで、日本の宇宙技術もかなり自信を取り戻せたといってよいのではないだろうか。

また気象観測の上でも、長年の悲願だった2機体制が確立することで、万が一運用中の衛星が故障しても予備機にすぐに交代できる体制が整うことになる。これでしばらく気象衛星観測は安泰といってもよいだろう。名称はもう「ひまわり」に内定しているようなので、後は衛星への命名を待ちたい。

ところで、今回打ち上げライブ中継を見たオアゾの特設会場だが、最終的には数百人ぐらいは人が集まっていたようだ。1時間前はほとんどガラガラでどうなるのかと思っていたが、ライブ中継が始まってから徐々に人が集まり始めた。10分ほど前からカウントダウンが始まると、会場には数字の読み上げが響き、緊張感も徐々に高まってきた。中継を見つめる人々もさらに増えてくる。実況音声では特にトラブルも報告されず、どうやらこのまますんなりリフトオフに進みそうだ。

カウントダウンはついに一桁に入った。9,8,7,6,5,4,3,2,1.そしてリフトオフ!ゴーッという音が会場に響く。音声はあまりくっきりしていないが、それでもロケットが噴きだすドドドという音が体に響いてくる。発射台から上昇して空中を驀進するロケットの姿が大写しになると、会場からは自然に拍手が起こった。ただ残念なことに、その後すぐにロケットは雲の中に突っ込んでしまった。

ここで1/3から半分弱の人が会場を去ったが、意外と多くの人がずっと会場に残って、マルチビジョンに流れる映像を見ている。今回の打ち上げではロケットにカメラが設置されていないのが残念だが、それでもRCC(総合指令棟)からの実況音声が入るたびに、1ステップずつ成功に向けて進んでいることが伝わってくる。

リフトオフから20分以上経過しても、会場で待つ人々はほとんど帰らない。ロケットは宇宙空間にあって我々はもうその姿を見ることはできないが、実際にはまだ「打ち上げ」自体は終わっていない。ロケットから衛星を無事に分離して初めて、ロケット打ち上げは成功したと言えるのである。

そして、ついにその瞬間がやってきた。MTSAT-2分離に成功!マルチビジョンはRCCでスタッフが喜び合う映像に切り替わり、会場からはリフトオフの時よりも大きな拍手が起こった。確かにリフトオフで炎を噴くロケットが上昇していく瞬間の方が見た目のインパクトは大きいが、ロケット打ち上げにおける最大のハイライトは、実はこの衛星分離の瞬間なのかもしれない。この瞬間に人々の感情は、緊張から歓喜へと劇的に変わるのである。

私もこの成功を見届け、満足感を味わいながら会場を後にした。

(追記 2006.03.01)

H2Aロケット打ち上げを追い続けているh2a_f8さんが、打ち上げ動画を公開している。現地で撮影した動画で、

音の再現が良いヘッドフォン等で聴くと臨場感抜群だと思います。

とのこと。確かにロケットが空気を切り裂いていくこの音を聞くと、ロケット打ち上げを現場で見たときの感覚がよみがえってくる。ぜひその音を味わってほしい。

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