竹崎や兵(つわもの)どもが夢のあと
一般の人たちとは異なり、特別の招待者や報道陣(の一部)は、立ち入り規制区域内からロケット打ち上げを眺めることができる。竹崎警戒所の内部にある竹崎展望台という場所から、射場を間近に眺めることができるのである。
もっとも、彼らは仕事で来ている。ロケット打ち上げをのんびり眺めているわけにはいかない。ましてや、撮影や中継にたずさわっている方々にとっては、絶対に失敗の許されない仕事である。実際には戦場に近い殺気が漂っていたに違いない。
そんな戦場で奮闘したつわものどもが去った翌日にも、前日のあとはまだ残されていた。ガムテープとマジックペンが、各社の陣取り合戦を物語っている。最後方のベストポジションを占めていたのは、MBCと書いてある陣地で、おそらく、地元のMBC南日本放送だろう。その隣や前方には、テレビ局や新聞社、その他の報道関係者が、みな思い思いの形式で自分の陣地を主張している。読売新聞のガムテープには「うらやましいな~」の文字。誰が書いたのかわからないが、きっと本人は設営だけを手伝って、本番はここから見られなかったのだろう。
ロケット打ち上げ翌日は、前日の荒れ模様の天気とはうって変わって、晴れ間ののぞく穏やかな一日。南国の風がノンビリと吹く竹崎展望台には、一戦終わった寂しげな雰囲気が漂っていた。
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