気象庁防災情報XMLフォーマットが決まる

5月15日に「気象庁防災情報XMLフォーマット」(Ver 1.0)が公表された。

気象庁とXMLコンソーシアム 「気象庁防災情報XMLフォーマット」(Ver.1.0)の仕様を策定

これは以前に気象情報とXMLという記事で紹介したもので、試案に対する意見も取り入れて今回は正式バージョンをリリースしたということになる。詳しい情報は気象庁防災情報XMLフォーマット 情報提供ページで入手できる。今のところ私には直接関係はないが、いくつか参考になりそうな資料があるので、これから細かいところも読んでみたい。

今回のポイントの一つは、


気象庁は、これまで、気象警報、津波警報、地震情報等、それぞれの防災情報毎に情報の性質・利用形態などを考慮し、それぞれの情報で個別の、気象庁独自の電文形式(フォーマット)を作成してきました。

という従来の方式では、今後の拡張性が乏しく発展が見込めないというところにあるだろう。これを一から全部XMLで作り直すことによって、拡張性が生まれて全体の見通しがよくなり、今後の高度サービス提供にもつながっていく。これが今回の仕様の最大の利点と言える。

ただ、それだけで終わってしまってはもったいない。XMLフォーマット化によって関連するソフトウェア開発費が安くなり、地方自治体や防災関係機関などが新たに利用を開始するなどして利用者が増加することが、このフォーマット策定の本当の成功と言えるだろう。そのためには、XML関係のツールを最大限に活用して、基盤となるシステムを安い価格で提供することが重要だと思う。オープンソース化なども考えられるだろうか?またシステム開発費だけではなく、情報利用料もなんとか安くならないものだろうか。。。

いずれにしろ、XMLフォーマットの採用によるコスト削減は、拡張性による高度サービス提供に並ぶキーポイントではないかと思う。

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「ひまわり」懇談会の最終取りまとめ

平成20年1月から始まった「静止気象衛星に関する懇談会」は、2月20日に最終取りまとめ結果を公表して、1年間に及んだミッションを終了した。

「静止気象衛星に関する懇談会」取りまとめの公表について

これまで5回にわたって開催された懇談会であるが、以下のページにこれまでの経緯がまとめられている。

静止気象衛星に関する懇談会について

この懇談会は、財源不足で「ひまわり」の打ち上げが危なくなってきたときに、「ひまわり」打ち上げを応援するための有識者会議のような形で始まったもの、と言ってよいだろう。それから1年を経て、「ひまわり」は今後も国の方針として打ち上げていくことが決まった。いろいろなメディアも「ひまわり」の危機に関するニュースを取り上げ、それも支援材料となったはずだ。

しかし懇談会でも「気象庁はもっと(衛星データ)ユーザとコミュニケーションすべき」という声が上がっていた。今後も「ひまわり」が必要な衛星とみなされるには、データが国民にもっと幅広く利活用されていくことが必要条件だし、気象庁はその動きをもう少し積極的に支援してもよいのではないか、ということだろう。

ちなみに、今回が最終取りまとめとのことなので、当ブログの記事もここにまとめておこう。

  1. 第1回懇談会に関する記事
  2. 第2回懇談会に関する記事
  3. 第3回懇談会に関する記事
  4. 第4回懇談会に関する記事

さて懇談会の終了とともに、このブログはまたもやネタ切れ状態となってしまいそうだが(苦笑)、しょうがないか。。。

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温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)が打ち上げに成功

本日、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の打ち上げが種子島宇宙センターでおこなわれ、打ち上げは無事に成功した。

H-IIAロケット15号機による温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の打上げ結果について

今回の打ち上げは、私はいぶき打ち上げ特設サイトのJAXA放送で生中継を見ることにした。打ち上げとともにロケットは光り輝く炎を出しつつ、数秒(?)で雲の中に突っ込んでしまった。ちょうど私が種子島にMTSATの打ち上げを見に行ったときと同じような状況で、現地で見ていたら一瞬でロケットが消えてしまったような感じだったかもしれない。

それはともかく、この衛星は世界が待望していたものである。大気中に二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが増えると地球は温暖化すると言われているが、ではどこでどのくらいの二酸化炭素(メタン)が排出されているのか。これが実は今までよくわかっておらず、限られた観測データとシミュレーションで推測するしかない状況だった。ところが今回の「いぶき」は、地球上での温室効果ガスの濃度分布を直接観測することができるため、地球上で二酸化炭素がどこで発生してどう動いていくのかを実際に見ることが可能となる。また長期間にわたって観測すれば、温室効果ガスがどこでどのくらい減ったのかもチェックすることができる。

このように「いぶき」は、地球温暖化問題の解明と解決において不可欠な役割を果たす地球観測衛星であると言えるのである。

なお、この種の衛星の打ち上げはいぶき(GOSAT)が世界初ではあるが、米国でも同様の計画であるOrbiting Carbon Observatory (OCO)が進行中で、2009年2月23日(?)に打ち上げとなる見通しのようである(参考:Wikipedia)。温室効果ガスの監視という分野は、今後は日本と米国の2機の衛星が世界を率いていくことになるだろう。

(追記:2008-02-25)
米国のOCOであるが、2月24日に打ち上げに失敗したとのニュースが入った。温室効果ガスの監視という目的にとっては、GOSATとOCOとの間でデータ品質のチェックができなくなるなど、今回の失敗は大きな損失である。これによって、「いぶき」は世界唯一の温室効果ガス監視衛星として、その役割に期待と責任がさらに高まったと言えるだろう。

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ひまわりと重要課題推進枠と宇宙関連予算

気象衛星「ひまわり」の予算が認められたという話はすでに書いたが、その詳細に関連する記事がいくつか出ているのでメモ。

まずは「重要課題推進枠」。日経新聞の記事(12月22日)によると、

気象衛星「ひまわり」の後継機整備へ

気象庁は22日、2009年度予算の「重要課題推進枠」で、静止気象衛星「ひまわり」後継機の整備予算77億3200万円が要求通り認められたと発表した。

この「重要課題推進枠」とは一体何だろうと調べてみると、東京新聞の記事、復活折衝を廃止重要課題推進枠 麻生首相決定へには、これまで「復活折衝」という手続きでおこなわれていたものを、来年度予算からは首相自らが決定する「重要課題推進枠」と呼ばれる手続きにした、というような説明がある。では復活折衝とは何か。これがまたよくわからない。もちろん字義通りに解釈すれば「財務省原案で認められなかった予算を復活させるための交渉」となるだろうが、ちょっと検索してみると「あんなの出来レース」と述べているページも多数みつかる。ということは「ひまわり」の予算も、最終案で復活させる目玉として「重要課題推進枠」に回ったということなのだろう。

次に宇宙関連予算であるが、これも日経新聞の記事(12月24日)、

09年度予算案、気象衛星開発など宇宙関連が10%増

政府の宇宙開発戦略本部事務局は24日、2009年度の宇宙関連予算が08年度比10.4%増の3488億円になったと発表した。今年8月に施行した宇宙基本法を受け、宇宙予算の伸び率は前年度の約0.5%から大幅に拡大した。野田聖子宇宙開発担当相は同日の閣議後の記者会見で「来年作成する宇宙基本計画のいい足がかりができた」と話した。
 財務省原案からは、現在稼働している気象衛星「ひまわり」の後継衛星の開発費77億円や、地球観測衛星「GCOM」の関連経費25.5億円などが上積みされた。

宇宙関連予算の増加分約300億円のうち77億円が「ひまわり」関係ということになる。なんとなく、国民から反対を受けにくい予算を「重要課題推進枠」に回したような感じである。さすがに、「ひまわり」の打ち上げに税金の無駄遣いとか文句を言う人が多いようには思えないので、ある意味予算を増やすには「安全パイ」である。なので、目立つところに「ひまわり」を入れて、宇宙関連予算も増えて、大臣の面目も立った、ということになろうか。

宇宙関連予算というくくりで見れば、全体の中で「ひまわり」の予算規模はそれほど大きなものではないし、今後もよほどのことがない限り、まあなんとか続くのではないかという気がしてきた。楽観的すぎるだろうか。。。

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気象衛星「ひまわり」に予算が認められた

気象庁のサイトに12月22日付のプレスリリースが出ている。

平成21年度予算 2次内示の結果

◇静止地球環境観測衛星の整備 77億円が認められた。
頻発する豪雨など極端な気象現象の観測機能を向上させ、さらに地球温暖化など地球環境の常時監視機能も強化した静止地球環境観測衛星(静止気象衛星「ひまわり」8号・9号)の整備に着手する予算77億円を要求。
その結果、「重要課題推進枠」で要求どおり認められた。

第一歩が踏み出せたようで、まずはめでたい。今後の進展に期待しよう。

ところで気象庁のプレスリリースを読むと、地球温暖化対策としての意義が強調されているので、公共衛星として公共性を訴えるというコンセプトがどうなったのかはよくわからない。今回はむしろ日本の地球温暖化対策の一環としての「地球温暖化対策衛星」というコンセプトが強調されたような感じである。

日本の宇宙開発の状況についてはこんな分析も出てきており(ただし「ひまわり」の予算は実際には認められているのでそこは読み替え)、なんだかややこしい状況のようだ。。。

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気象衛星ひまわりは「公共衛星」?

まだまだ不透明な段階での記事だが、今後のための記録として残しておきたい。

宇宙戦略本部、早期警戒衛星を検討…事務局原案(読売新聞)

11月4日に明らかとなった、政府の宇宙開発戦略本部事務局原案では、以下のような方向性が打ち出されているそうである。

気象庁の予算不足から継続が危ぶまれていた気象衛星「ひまわり」や、地球観測衛星、科学衛星などは新たに「公共衛星」と表現、政府として責任を持って運用する方向を打ち出した。

この事務局原案がウェブサイトに掲載されているのかを調べてみたが、よくわからなかった。宇宙開発戦略本部のウェブサイトには、それらしき文書は公開されていないようである。

宇宙開発戦略本部

「公共衛星」という概念がどこまで広く受け入れられるのか、今後の展開に注目していきたい。

ちなみにこの概念は、「ひまわり」をより大きな枠組みの中に位置づけるというシナリオから生まれてきたものと考えられ、先日の記事の追記で取り上げたキャッチフレーズへの第一歩となる言葉かもしれない。が、これだけではキャッチフレーズとしてインパクトが弱そうな感じもするし、今後さらにいろいろ知恵を出していくのだろう。

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ひまわり後継機は気象庁が単独で調達することに

すでに数日前からニュースは出ているが、ひまわり後継機の予算不足の問題は、気象庁が単独で調達することで解決を目指すこととなった。

ひまわり後継機、気象庁が予算要求…運用の民間委託も検討

この件については、今年の初めから気象庁が懇談会を開いて費用確保の方法を検討してきたが、有望な方向を打ち出すことができなかった。

「静止気象衛星に関する懇談会」中間取りまとめの公表について

そして、一時は打ち上げが危ぶまれる状況(というストーリー?)になっていたが、最終的に気象庁が80億円の予算を概算要求に計上するという方向で、ひとまず決着を迎えた。

ところで、読売新聞の記事だが、予算の要求を認めたのは国土交通省ということになっている。

現行の2基を相乗りで打ち上げた国土交通省航空局が後継機から手を引く方針を打ち出したため、予定通りの打ち上げが危ぶまれていたが、台風の進路や地球温暖化の監視を担う衛星の重要性は高まっており、同省も予算を確保し気象庁単独で打ち上げることを認めた。

もしかすると予算要求を嫌がっていたのは国土交通省だったのかも。これまでの経緯について、想像をたくましくしてみよう。

気象庁から見ると国土交通省は親のような立場にあたる。子の気象庁が困っていれば面倒を見る立場だし、国土交通省は予算規模が大きいので全体としては面倒を見る力がある。しかしできるだけ親の負担は少なくしたいから、「なんとか自分で金を見つけてこい!」と気象庁にハッパをかけた。しかし有効な手立てを見出せなかった気象庁は、「いろいろやってみたけど、もうどうにもならないっす。。」と国土交通省に泣きついた。そうなっては国土交通省も、親の立場としてなんとかしなければならない。別に突き放してもいいのだが、親だって実は「ひまわり」がないと困るのである。「ったく、しょうがねぇなぁ~」ということで、特定の局が負担するのではなく、省全体でサポートするという形で、80億円の概算要求を認めたというあたりかもしれない。

しかし、まだ予算要求できた(つまり予算の優先順位を高くしてもらえた)というだけで、財務省が認めたわけではないから、まだまだ楽観視できる状況にないのも確かである。今後も世間でこの話題が盛り上がることを期待したい。

なお、この話題に関する最近のページとしては、以下が話題豊富である。

気象衛星観測に空白の危機・頼りは中国?

この記事には、私も時折触れてきた、中国の気象衛星「風雲」の話題が出ている。確かに中国の衛星を使ってもある程度までは代替可能だろうが、だからといってアウトソーシングで経費削減、が万能の解決策でもなかろう。今後の国際貢献を考える上でも、「ひまわり」を確保しておくことは大きな武器になるのではないかと思う。

(追記:2008-08-27)

気象庁の概算要求概要が公表された。

平成21年度概算要求概要

次期気象衛星に77億3200万円の予算を計上し、「最重要課題として、次期気象衛星(静止地球環境観測衛星)の整備に着手する。」との文言が入った。今年はじめからの各種の懇談会その他は、まさにこの一文を書いても許される(?)環境を作るためだったから、これをもって第一ステージは終わったと言えるだろう。

ただしその影響で、主要施策の予算額が前年の34億から118億へと大幅に増加している。国の予算削減の折、これは目立つ、のかもしれない。

話は変わるが、新田次郎著「富士山頂」には、富士山レーダーの予算の説明のために大蔵省に行くシーンが冒頭に出てくる。富士山レーダーの必要性に関してくどくどと長ったらしく説明していたら、主計官に「説明をひとことで云い表すことばはないか」と聞かれ、そこで「台風の砦」というキャッチフレーズを持ち出したのが効いたか、満額に近い予算が認められたというシーンである。

今でも同じような予算説明が行われているのかはわからないが、次期気象衛星の新規予算規模は気象庁にとっては富士山レーダーに匹敵するような規模かもしれず、同様にうまい説明や「ひとことで表現する」キャッチフレーズが必要となる。第二ステージではそのために再び知恵が集められることになるだろう。

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ひまわり後継機の予算がない問題に関する社説

読売新聞の社説に、ひまわり後継機の予算がない問題が取り上げられた。

次期気象衛星 観測の空白は許されない(7月21日付・読売社説)

書き出しは最近気象庁がミスを連発しているという問題。これはどうでもいい。いや、どうでもいいわけではないのだが、本題には関係ない。

さて本題のひまわり後継機の予算がないという問題である。まずは背景説明。

現在の気象衛星「ひまわり」は2015年に寿命を迎える。気象衛星の製造には最低5年かかるため、観測を継続させるには、次期衛星の関連費用を来年度予算で確保しなくてはならない。

しかし、まだ予算を確保できていない。だから、

気象庁は、早々に予算のめどをつける必要がある。

その通り。ただ、必要性を認識しただけで予算が湧いてくるわけではないので、気象庁は他省庁、あるいは政治家に対して、もっと積極的に予算獲得運動せい、ということだろうか。

政府全体として、もう少し戦略的に、衛星の調達に取り組む体制を整えることも大切だ。来月には宇宙基本法が施行され、宇宙戦略作りが本格化する。そこに、気象衛星も位置づけるべきだ。

国の厳しい財政事情を考えると、単に気象衛星に予算をつけてくれと言っても拒否されてしまうだろうから、単独の案件ではなくもっと大きな枠組みの中に位置づけるしかない。そこでキーポイントなるのが宇宙基本法であり、宇宙開発戦略本部のようである。宇宙開発戦略本部では政治家が今後の宇宙開発の指針を決めることになるようだが、その中に「ひまわり」をうまく位置づけてもらえれば、予算も確保できるかもしれない、というのが今のシナリオか。

ともかく、国民が広く受ける利益でコストパフォーマンスを測れば、「ひまわり」に勝てる衛星はおそらく他にはないだろうから、実務的にはいろいろあるとしても、最終的にはそこの点を国民的に広く支持していただくのが最も強い力になると思う。ただし気象衛星「ひまわり」には別の問題もある。

気象衛星の観測機器の性能向上にも、取り組む必要がある。現在は、海外のメーカーしか、気象観測に必要な機器の製造技術を持っていない。どう研究開発に取り組むのか。これも、気象庁任せにはしておけない問題だ。

そうは言っても、これはむしろ気象庁にはどうしようもない問題で、「日米衛星調達合意」という核心問題に触れないで議論をしてもむなしい感がある。

日米衛星調達合意の問題については以下のページが詳しく述べているが、

日本の宇宙開発利用の今後―日米90年合意について―

こういう問題があって「ひまわり」を国産できないのであるから、まずはこの合意をどうするかという問題に取り組まなければ、社説で述べられた問題は根本的には解決しないだろう。アメリカに対してこの合意の修正を提案するとすれば、それもやはり政治の問題である。ただしすぐに何とかできる問題ではない。

ひとまず予算については、この夏がかなり重要な運動期間になるのかもしれない。こうやって色々なメディアで、この問題をどんどん取り上げて欲しいものである。

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気象衛星「ひまわり」が消滅の危機

なんだかこのネタに関して唐突に記事が出てきたが、気象庁からのプレスリリースが出ているわけではないようなので、なにかとお金の話が多くなる(?)洞爺湖サミットにぶつけた記事だろうか?

気象衛星が消滅の危機、「ひまわり」後継機に予算集まらず

気象衛星が消滅の危機にある理由は、これまで繰り返し取り上げてきたように、多額の費用を負担してくれるスポンサーが見つからないからだ。

現行2基の予算の7割を分担した国土交通省航空局が計画から外れることになったため、管理運用を含め1基400億円とされる予算の確保が気象庁だけでは難しいためだ。

また、気象庁が民間との相乗りを模索したが協力を得られなかったというのは、例の「静止気象衛星に関する懇談会」のことを指していると思われる。

打ち上げ費用は管理運用も含めて1基400億円。以前にも書いたが、これを安い金額とは言わない。ただし気象衛星は日本国民のほぼすべての人が恩恵を受ける事業である。だから例えばマイクロペイメントが実現するとすれば、日本国民が1人1日1円負担すればたった1年でこの費用はカバーできる。しかも衛星は5年間動くので、実は1人1日20銭の負担でよい。つまり気象衛星が打ち上げられないということは、日本国民は1人1日20銭も負担することができない、ということになる。

まあもちろん財政事情が厳しいとはいえ、日本政府はさすがに400億円を負担できないほど貧乏なわけではなく、要するにこれは優先順位の問題である。つまり、現在何か別のものに支出している400億円を削減して、それを気象衛星に投資するという決断ができる人が日本にいるのだろうか、というのが問題である。もしこの決断ができる人がいるとすれば、それは政治家ということになるだろう。果たして、これほど票に結びつかない決断ができる政治家が、この日本にいるのだろうか。。。

日本が気象衛星を打ち上げられなくなれば観測に空白が生じると記事にはあるが、実際に起こることはある意味日本にとってはもっと悲惨なシナリオではないかというのが私の予想である。というのも、これも前に書いたが、中国がすでに近くに気象衛星を打ち上げているからである。気象衛星がないと困るのはどこの国も同じ。「お願いだから、貧乏な日本の代わりに気象衛星を打ち上げてください!」というリクエストが中国に向かい、それを受けて中国が日本の地位を引き継いで、めでたしめでたし、となるのではないか。

せっかく洞爺湖サミットに合わせて(?)記事を出してくれたのだから、これを機会にこの問題にもっと人々の関心が集まり、究極的には国の予算配分の仕組みそのものが良い方向に向かってほしいものである。

(追記)
ブログ「松浦晋也のL/D」でも、この問題が取り上げられている。

松浦晋也のL/D: 気象衛星の危機的状況

この記事でも問題の解決には政治家の決断が必要であると述べられているが、同感である。

この問題を天気予報のための気象衛星打ち上げという問題に矮小化してしまうと「気象庁にそんな金はない」ということになるが、防災目的への利用や国際的なプレゼンスの維持までを含めたコストと考えれば、他のコストと比べてそれほど大きなコストであるとは思えない。ただしこのような大局的な問題の捉え方は、省庁の縦割り構造にはあまり馴染まないものであろう。いま、日本のあらゆる分野で予算配分(もっと言えば既得権益)の硬直性が問題になっているが、この問題もまさにその一つの現れに他ならない。

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第3回静止気象衛星に関する懇談会

少し遅くなったが、4月25日に第3回静止気象衛星に関する懇談会の議事概要が出た。

静止気象衛星に関する懇談会について

第1回第2回とは異なり、今後につながる話題も見えるような議事進行になっている。

今回の懇談会は、民間衛星通信事業者を招いて議論するというのが趣旨であるが、今後につながる話の流れとなったのは、基本的に事業者がこの計画に前向きだからであろう。つまり、「やるかやらないか」の議論ではなく、「どういう条件ならやるか」の議論になっており、議論のポイントが比較的明確になっている。

まず今回の議論ではPFIという言葉が登場し、これが主な話題になっている。PFIとはPrivate Finance Initiativeの略、つまり公共的な事業を民間資金を活用しておこなう手法を指す。衛星運用のような公共性の高い事業はこれまで国がリスクを負ってやっていたが、そのリスクを民間も負うことによって、民間にも事業機会を生み出すことができることになる。最近は様々な事業に関してPFIが試されているが、衛星の運用に関しては日本初の試みだそうだ。

素人の印象としては、衛星運用ではPFIの意義はそれなりにあるのではないかと思う。民間事業者はどちらにしろ通信衛星など他の衛星を運用しなければならないのだし、その事業に新たに気象衛星を付け加えたとしても、気象衛星だけをやる場合に比べれば追加的な負担が少ないことは想像できる。また民間事業者であることから継続性に疑問も生じるが、しかし通信衛星など他の衛星の運用も請け負っている以上、参入が容易な他業種のように頻繁に撤退・譲渡が生じることはなさそうである。もちろん絶対にトラブルがないとは言えないが、それを考慮しても、衛星運用をアウトソーシングすることには合理的な理由がありそうだと思える。

また議論の中には、興味深い発言も見られる。


1990年の日米衛星調達合意によって気象衛星は非研究開発衛星として整理されており、気象衛星の本体に関して技術開発を多分に行うことはない(以下略)

1990年の日米衛星調達合意によって国の非研究開発衛星はオープンな国際調達を行う必要があるが、民間には適用されないメリットもある。

気象衛星「ひまわり」の打ち上げがあまり盛り上がらない理由の一つには、「ひまわり」で儲かる人が少ないという点もあるだろう。「ひまわり」衛星を製造しようと思っても国際調達をすべしという縛りがあるため、結局米国のメーカーが製造することになってしまい、日本企業はあまり潤わない。しかも第2回で話題になったように、データの販売でも儲かる見込みが薄い。結局、「ひまわり」は確かに必要だけど誰も儲からないよね、、という構図になってしまっている。儲からない話にサポーターが少ないのは世の常だし、「非研究開発衛星」に指定されてしまっては研究という面でもサポーターは少ないだろう。これでは予算も確保しにくい。邪推ではあるが、今回のPFIで国際調達の縛りが解けて衛星の製造でも儲かるという話になれば、サポーターが増えてくるという目論見もあるのかもしれない。。。

もう一つの話題は衛星の相乗りである。質疑では相乗りする衛星によって衛星の位置を動かせるのかというものがあるが、気象庁としては東経140度という位置は動かせないという主張で、私もそれは全くその通りだと思う。したがって相乗り衛星については、相変わらず明るい話題はないようだ。

まあとにかく、PFI方式がうまくいくかは、以下の議論につきるだろう。


委員:衛星の運用のみを民間に任せられても、企業として収益が上がると思っておられるのか。

事業者:収益が上がるだけの契約をしていただきたい。民間には人的リソースも含めて十分なものがあるので、気象庁が自ら衛星運用を行うよりもコスト面でのメリットはあるだろう。

つまり儲かるような事業にしてくれるならやりますよ、ということで、ある意味当たり前のわかりやすい結論である。衛星運用についてはVFM (Value for Money)、つまり官が運用する場合に比べたコスト削減効果が大きいと見込めるので、ここにコスト削減効果と事業者の収益機会があるだろうということになる。

それは確かだが、しかしそもそも問題になっていたのは、衛星本体の打ち上げ費用の工面なのではなかっただろうか。確かに衛星運用はPFIに向いているとしても、肝心の打ち上げ費用のメドがつかないのではすべてが絵に描いた餅である。こちらも民間資金は活用できるのか。私もまだPFIについてはよくわかっていないのだが、そのあたりが今後の話題となりそうな気もする。

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